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生きているのか、死んでいるのか…相続人の一人が「行方不明」、遺産分割協議はどうすれば?

生きているのか、死んでいるのか…相続人の一人が「行方不明」、遺産分割協議はどうすれば?

Q5. 相続人のあいだで遺産分割協議がまとまらない場合は、どうすればよいですか。

A. 遺産分割の協議に共同相続人が全員参加できない事情があったり、協議しても合意が得られないときは、家庭裁判所に調停および審判を申し立てて分割してもらうことができます。

1.家庭裁判所の調停

遺産分割の調停は、解決を望む相続人がほかの相続人を相手方として「相手方の住所地の家庭裁判所」に申し立てます。添付資料として、共同相続人や利害関係人のリスト、遺産目録、被相続人の除籍謄本、相続人の戸籍謄本※3などが必要です。

家庭裁判所では裁判官ひとりと調停委員ふたり以上で構成される「調停委員会」が調停にあたります。話し合いが成立すると、その結果は調停調書に記され、この調書が確定した審判と同一の効力があります。

2.家庭裁判所の審判

審判も、相続人がほかの相続人を相手方として申し立てますが、「被相続人の住所か相続開始地の家庭裁判所」に調停と同様の資料を添えて行います。審判は非公開で、裁判所の職権で証拠調べをし、法定相続分を基準としつつ、特別受益や寄与分および財産の種類、性質、各相続人の職業その他一切の事情を考慮して、公権的に分割方法を決めます。

この審判に不服があれば、不服の申し立てをして高等裁判所で争うことになります。

※1 失踪宣告……普通失踪と特別失踪があるが、普通失踪では、生死不明になったときから七年経過したときに死亡したものと見なされる

※2 財産管理人……相続遺産や不在者の財産を管理・清算する人のこと。相続財産管理人の役割は次のとおり。「相続財産を調査・把握する」「債権者や受遺者への支払いを法律に基づいて行う」「特別縁故者に対する相続財産の分与の手続を行う」「残った財産を国に帰属させる」

※3 戸籍謄本……戸籍に記載されている全員の身分事項を証明するもの。戸籍は、夫婦と未婚の子によって構成される。夫婦と未婚の子がふたりであれば、その四人全員の身分事項を証明するものが戸籍謄本になる。戸籍抄本とは、戸籍に記載されている者のうちひとりまたは複数人の身分事項を証明するもの

セミナー講師

杉村政昭

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