’24年に京都市を訪れた外国人観光客(インバウンド)数は1,088万人と過去最高を記録し、’25年もそれを上回るペースでインバウンドが訪れている。今や京都の経済を支えるのは「外国人」と言っても過言ではない状況だが、観光地ではトイレ使用をめぐるマナー問題も勃発している。特に人の多いエリアでは、トイレを利用不可としているコンビニが相次いでいるというのだ。日本を代表する観光都市で、何が起こっているのか。現地を取材してみると、観光客の利用がコンビニに偏り、店側が悲鳴を上げている構図が見えてきたーー。
◆「トイレはご利用いただけません」こぞって利用拒否の意思表示を行うコンビニ
八坂神社、知恩院、清水寺と、京都屈指の観光名所が集中する祇園・東山区エリア。区内を歩いていると、ちょっとした「異変」が目に留まる。
八坂神社前。着物姿のインバウンドが多いのは京都ならでは
インバウンドで混雑する清水寺周辺一つは、海外観光客(インバウンド)の多さだ。日本人より西欧系、アジア系、イスラム系などとすれ違うことが多く、まるで海外にいるかのような錯覚を覚えるほど。
清水五条駅付近にあるコンビニ。店の入口に「トイレは、お貸ししておりません」との掲示が
八坂神社前から続く大和大路通り。コンビニだけでなく交番も「トイレは貸していません」との貼り紙を掲げていたもう一つの異変が、路上沿いにあるコンビニの掲示だ。「店内にトイレはありません」「トイレはご利用いただけません」ーー多くのコンビニが、「トイレ貸出拒否」の貼り紙を店内外に掲げているのだ。東山区内で10数軒の店舗をまわってみたが、8~9割は貸出不可。中には配送用の箱をトイレ前に重ね、バリケードを作っている店もあるほどだった。
◆トイレを貸してあげたいのはやまやまだけど

京阪本線清水五条駅付近にあるコンビニでは「ベンチで寝ないで下さい!」「長時間の居座り、飲酒、足、杖の投出しお断り致します!」など、トイレ以外も含むマナー注意書きが何枚も貼り出されていた。なぜ店側はかくも過敏になるのか。レジで名刺を差し出し、取材希望の旨を伝えると、店員は日頃から溜まっていた鬱憤を吐き出すかのように「トイレを貸してあげたいのはやまやま。意地悪したい訳じゃないんです」と話し始めた。
「使ったからには買い物ぐらいして行ってほしいのに、インバウンドの場合、用だけ足して帰ってしまう人が半分以上。あとは日本人も含めてトイレを汚される、壊される、吐かれることが何度もあった。本部は修繕費を負担してくれへんから、その度ごと、店側が何十万円も支払っているんです。トイレを貸したら貸したで『汚い』とカスタマーハラスメントまがいのクレームを受けることもあり、結果マイナスにしかならへんと(やめた)」
インバウンドの恩恵を受けて商売が成り立っているのだから、店側はもっと寛大な姿勢であってもいいのではないかーーそんな声も聞こえてきそうだ。しかし、事態はそう単純ではない。