【介護職の賃上げ】事業所に聞く「2月開始の補助金、どう分配した?」

【介護職の賃上げ】事業所に聞く「2月開始の補助金、どう分配した?」

「施設はチームなので、全職員に分配を」(福)霞会の場合

続いて、茨城県にあるが運営する「特別養護老人ホームふるさと」で施設長を務める冨田晃由さんに話を聞きました。特養にはデイサービスとショートステイが併設されており、法人全体の従業員数は約50名です。

話を聞いた人

冨田さんプロフィール写真

社会福祉法人霞会 特別養護老人ホームふるさと 施設長

冨田晃由さん

──まず、今回の賃金改善政策を知った際の第一印象を教えてください。

冨田さん:処遇改善、特定処遇改善に続く第3弾ということで、介護職員にとってはとてもありがたいことだと思います。その反面、事業所側としては申請手続きなどでどうしても事務方の負担が増えてしまうので、介護職員のみが注目されていることへの複雑さも正直なところ感じました。

──と言いますと、補助金の申請をするかしないかでは悩まれたのでしょうか。

実は前年度の売上が厳しくて、毎年おこなってきた(法人独自の)基本給のベースアップができなかったんです。なので代わりといってはなんですが、今回の補助金を活用する形となりました。

──補助金を支給する職員の対象範囲は?

うちの法人では特養、デイサービス、ショートステイの全サービスの全職員を対象にしました。医療職や栄養士、事務なども含めてです。

やはり一つの施設でチームで運営しているので、介護職だけでなく、すべての職員を対象に含めたいなと考えました。

──全職員が対象だとかなり細分化されますよね。分配基準はどのように決めましたか?

全員が対象ではありますが、それでもあくまで介護職員向けに支給された補助金なので、介護職員への分配が多くなるようにしました

細かい条件は従来の処遇改善手当の分配方法に合わせて、常勤・非常勤、資格の有無、役職の有無によっても差をつけました。

──一人あたりの平均支給額はどのくらいでしょうか。

介護職員で平均4,000円程度で、ほかの職種はその5分の1くらい(約800円)でしょうか。

──やはり全職種に分配すると、金額はぐっと減ってしまいますね。

そうなんですよね。とくにうちの特養はユニット型なので、従来型の特養と比べて配置人数が増える分、一人頭の金額も少なくなってしまうんですよ。

──職員の方々からは、どういった反応がありましたか?

それが実は、とくにこれといった反応は上がってきてなくてですね。中にはこの制度自体を知らなかった職員もいたようですし……。

今回の件については計画書を作成して周知もしていますし、給与明細にも​「特別処遇改善」「特別金」​などの形でわかりやすく書かれているんですけどね。

──では制度開始の2月以降、採用面接に来る求職者の方からの反応は?

こちらもあまり質問は受けないですね。

「各種処遇改善や補助金には対応している」とこちらから先に説明をしてまして、それで納得いただいているようです。

──同業他社の方たちと今回の賃上げ制度について話すことはありますか?

業界団体の集まりでいろいろな施設の話を聞くと、まずやっていないところはないですね。ほとんどの施設で申請していると思います。

だいたいどの施設長も「作業量は増えるのに、事務職や他職種が上がらないのは可哀相」という話をしていますね。

──10月以降の新加算は申請される予定でしょうか?

はい、使える制度はできるだけ使って、少しでも多く職員に還元できたらと考えています。

──今後の介護職員の処遇改善に関して、改善点や現場での課題感などがありましたら教えてください。

処遇改善がおこなわれる度に感じることですが、その金額が毎回独り歩きしてしまっているなと思います。今回の場合だとメディアで「一人9,000円」という金額ばかりが大きく取り上げられていましたが、実際はうちのように配置基準の影響や他職種へ分配することで、満額支給できる事業所は少ないと思うんですよね。期待ばかり膨らんでしまうので、このあたりは現実的な金額を示してもらいたいと思います。

また介護人材不足を受けての処遇改善ではありますが、一方で介護職員も自分たちのスキルアップ・キャリアアップを考える必要があると思います。「黙っていても待遇が良くなる」ではなく、介護の専門職として求められた結果、待遇が上がり、自分たちの専門性も上げていかなくてはいけない。この意識付けがこれからは必要になるのだと思います。

終わりに

介護保険制度というルールのもとで運営される介護事業所。ルールが少なければ職員の待遇やサービスを充実できる可能性がある一方で、不適切な運営がおこなわれるリスクも高くなります。公共性の高いサービスをおこなううえで、このバランスをどう調整していくかは今後の懸案事項の一つとなりそうです。

また今回の取材では、山中さん・冨田さん共に“介護職員が自身のスキルアップを考えることの重要性”について触れていました。待遇が改善されるのをただ待つのではなく、「介護のプロとして自ら知識や技術を高めていってほしい」という経営側の願いが伝わりました。

参考

  • 厚生労働省|介護職員の処遇改善
  • 厚生労働省|社会保障審議会(介護給付費分科会)

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