処遇改善加算の一本化
──現在検討されている「処遇改善加算の一本化」は、まさに賃上げにも関係してきますが、どういった内容なのでしょうか。
現行の制度では「処遇改善加算」「特定処遇改善加算」「ベースアップ等支援加算」の3つの処遇改善加算があり、それぞれ算定要件や対象職種などが違うことから、事務作業の煩雑さや職種間の差が生じていました。それらを一つにまとめてしまおうというのが今回の改定案です。
これは非常に良い改定で、もっと早くやってほしかったくらいですね。その複雑さから申請に至らなかった事業所もありますから。
──一本化により、職員の給料に変化はあるのでしょうか?
あると思います。加算額の配分方法については、これまでのような規定を減らし、「介護職員への配分を基本とし、特に経験・技能のある職員へ重点的に配分することとするが、事業所内での柔軟な配分を認める」という意見が、介護保険制度について議論をおこなう社会保障審議会(以下、審議会)で出されています。
──では、先ほどの「職種間の不公平感」の解消にもつながりそうですね。
そうですね。ただ残念ながら、事業所によっては一本化の恩恵のないところもあります。処遇改善加算はあくまで介護職員が対象なので、直接介護をおこなわないケアマネジャーや管理者、事務員などは対象外です。例えば居宅介護支援だけを提供している事業所の場合、加算を受けられないので待遇にも反映されないということになります。
ただケアマネジャーの処遇については改善を求める声が多いため、居宅介護支援の基本報酬増などで別途検討が進められる可能性はあります。
介護助手人材の活用
──人材の不足を補うために、介護職員をサポートする介護助手の活用が進められています。介護助手は食事の準備や清掃など、直接介護に関わらない周辺業務を担当しますが、この傾向は今後も加速していくのでしょうか。
進んでいくでしょう。審議会では、今後の「良質な介護サービスの確保に向けた働きやすい職場づくり」の一環として「介護助手の活用などにより、サービスの質の向上と業務負担の軽減を図ることが重要」と明言されています。
介護助手を雇用している事業所は約半数というデータが出ていますが、現状では人員配置に組み込まれていません。今後はより多くの事業所での導入が進むよう、制度上の位置づけを検討していくと考えられます。

しかし、どれだけ人を確保できるかは読めないところではあります。介護助手にお願いしたい仕事というのは、スポットの時間帯でだいたい決まっているんですよね。朝昼夕の食事時、入浴後のお風呂場の掃除と洗濯などです。一回あたり2〜3時間の仕事に合わせて日に何度も通勤するというのはあまり現実的ではありませんから、それだけの人数が必要になってきます。

──介護助手が現場に入ることによって、介護職員の仕事内容に変化はありますか?
厚労省などの見立てでは、介護職員はより専門性の高い仕事に従事することを想定していると思います。これまで職員がやっていた生活援助を助手にお願いして、その分の時間でしっかりと利用者のケアに注力してほしいと。
懸念点があるとすれば、分業化によって職員の間にヒエラルキーが生じないかということでしょうか。役割が明確になったことで、例えば「片付けは私の仕事ではないのでやりません」という人が出てくるなど、職種間の分断が起こるのではないかという懸念はあります。あくまで役割であって、上下関係にまで発展しないでほしいと思いますね。

