◆私刑が横行する異様な空気。正義感なのか、収益目的なのか?

その後も、各地で暴露動画の拡散は止まらない。
熊本県では、被害者の母親が被害届を提出し、加害した中学生が傷害容疑で逮捕。また高知県の名門私立高校野球部では、男性コーチが部員3人に「殺すぞ」「カス」と暴言を吐く動画が拡散され、処分に至った。
事態を重く見た文部科学省は、都道府県や政令指定都市の教育長らを対象に、見過ごされている暴力行為やいじめがないか点検を求める通知を出すまでに至っている。
SNSでの暴露を発端に、所属組織だけでなく警察や自治体まで動き出す事態となっているが、なぜこうしたいじめや暴力動画がいまトレンドになっているのか。
◆デスドルこと磨童まさを氏を直撃

「栃木の動画は過去の自分と重なり、なんとかしたいと思いました。私刑は悪だとわかっていますが、騒ぎにならないと大人たちは動かない。誰かがこの活動をやらなきゃと思い、投稿を始めました」
栃木の動画投稿以降、彼の下には1日600件以上のDMが送られてくるようになった。うち約100件は「いじめっこから謝られた」「いじめられなくなった」「先生が積極的に話を聞いてくれるようになった」など、当事者たちから応援の声だ。
こうした反響を受け、磨童氏は1月に「いじめ撲滅同盟」を結成。メンバーはへずまりゅう氏、そして歌い手・配信者界隈で有名なインフルエンサーなポケカメン氏、地雷ちゃん氏を加えた4人だ。DMで寄せられるタレコミについて、撮影日時や被害者・加害者との関係性などを精査したうえで、世間に公表する体制を整えていると明かす。
「なかなか動かない学校や教育委員会、警察に発破をかけることで、組織の隠蔽体質を食い止めたい。すでに実績もあげているので、今後も積極的にいじめ撲滅を訴えていきたいですね」
磨童氏は、いじめ被害者にこうエールを送る。
「被害者は、報復される恐れがあって周囲に相談できない状況だと思います。それでもまずは周りの大人に相談することが重要。その際は、録音や録画データを持って、警察や学校等に相談をしてほしい。それでも動いてくれないときに、最終手段として僕らに送ってほしいです」

