成長を続ける香水市場。その理由は?

成長を続ける香水市場。その理由は?

香水市場の主役は若年層? ニッチブランド?

2025年は多くのファッションブランドの顔が変わりました。

これからファッションブランドはどんな方向に向かっていくのでしょうか? また価格の上昇が続き消費が伸び悩んでいると聞きます。もちろん原材料費が高騰し、商品の価格にそれが大きく影響しているのも間違いありません。

日本の市場はそんな中で健闘していると思いますが、円安が続く中、多くのラグジュアリーブランドの店舗は海外からのお客様の姿が目立ち、それに支えられているというのも事実ではないでしょうか。

そんな状況にもかかわらず、成長を続けている分野があります。香水市場です。

2025年の国内の香水市場規模は、コロナ禍の2020年と比較して50%以上増えると予測されています(日経ビジネス)。コロナ前の日本での香水市場での売り上げは欧米と比較するととても小さかったのですが、コロナ禍で自宅にいる時間の増加やストレスケア、アロマの効果などを期待したキャンドルやルームディフューザー、パルファムへと、香りが生活の一部として、また確実に生活を豊かにするものとして認識されていったのだと思います。よい香りを身に纏うことによる気分の高揚や、リフレッシュ感を一度体験すると忘れられないものになる、嗅覚に訴えるとはそういうことなのではないでしょうか。ラグジュアリーブランドの高級香水の発売も2025年は相次ぎ「ジル サンダー」「プラダ」「ヴァレンティノ」「ディオール」「グッチ」「イヴ・サンローラン」といったビッグメゾンが次々と新作を発表しています。

以前は香水というと、中年以上の方をターゲットにした商品が多かったのですが、今は、特に若年層を中心として香水の売り上げが伸びているというのも注目点で、100mLが3万~5万円という香りや品質にこだわった高額なものが人気です。

ラグジュアリーブランドの体験の入り口として、財布やカードケースを購入するといった時期もありましたが、今やそれすらも高価になり、まず香水からブランドを知るという人たちもいるのです。

先述したビッグメゾンだけでなくフレグランスに特化したニッチブランドの健闘が目立つのも大きな特徴です。「ル ラボ」や「ディプティック」といったフレグランスに特化したブランドは、原宿のキャットストリートや代官山といった、どちらかというと若い人たちが集まるエリアに新店舗を出し始めています。またいろいろな成分を掛け合わせて自分だけの香りを調合できるというブランドも出てきました。

ルラボ
昨年リニューアルオープンした「ル ラボ」代官山店。ガラス越しに調合の様子が見られる
Courtesy of Le Labo
ディプティック
キャットストリートにオープンした「ディプティック」の日本初のフラッグシップブティック。五感で楽しむイマジネーションの世界へ
©diptyque

日本では数百年前から香りの文化が根付いていた

もともと香りに敏感な国民性を持つ日本では「香道」という三大芸道の一つが500年前から存続しています。これは香木を一定の作法で焚き、立ち上る香りを鑑賞するというもの。「香道」では香りを「嗅(か)ぐ」という表現ではなく「聞く」と表現します。日本古来の文学や詩歌にも登場し、香りを鑑賞することによって精神性や美的な感覚を養うというもので、茶道や華道と並ぶ伝統芸道でもあるのです。

奈良の東大寺正倉院に納められている天下無双の名香と称される特別な香木「蘭奢待」。

足利義政や織田信長といった当時の権力者が愛好したことでも有名です。この「蘭奢待」は東南アジアで産出される沈香の一種です。沈香とは東南アジアの自然環境の中で育った木が傷つき、その防御反応として分泌した樹脂が長い年月をかけて固まったもので、非常に希少で高価な香料です。

最近ヨーロッパでは沈香が新たな形で注目を集めています。フランスの有名な調香師フランシス・クルジャンは「2000年代に入り、西洋の香水業界では沈香が盛んに取り入れられるようになっている。これからますます人気が高まり利用が広がっていくでしょう」と語っています。そのため人工で沈香を作るようになりましたが、自然の沈香とは、その香り、質において比較になりません。

日本ではニッチなフレグランスや、職人技の香りが求められています。今までのマスマーケット向きの、工業生産される香水よりも、少量ずつ手作りされるものを求めているのです。

この香水市場の成長には、これからのラグジュアリーブランド市場についてのヒントが隠されているような気がします。

2026年1月29日

・「ル ラボ」から、藍に染まる特別なキャンドルが登場
・「ディプティック」フルール ドゥ ポーに、待望のオー ド トワレが登場。

配信元: marie claire

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