おもちゃ箱からお気に入りを見つけるワクワク感
カンパラ氏の言葉通り、店内にはお客さんが主役になるための仕掛けがいくつもある。ディスプレイのユニークさもそのひとつだ。たとえば、日本の伝統工芸品であるこけしと、「ゴールデングース」のアイコン的存在のスニーカーがラックの中で一緒に並んでいたり、ダンボールの中にスニーカーがたくさん詰まっていたり。歩いているだけで、おもちゃ箱をのぞいてお気に入りのものを見つけるようなワクワク感がある。

「 “探す”ということもキーワードのひとつです。あえてきれいに並べるのではなく、いろいろなものがラフに並ぶなかで、お客さんがそれを探し自分の手で触れることが重要なのです」
「Co-Creation」(共同創作)のスペースが充実しているのも特徴だ。Dream Makerと呼ばれるブランドの職人兼デザイナーとともに、スニーカーやウェア、小物に対して、手刷りで柄を入れることや、ハンドペイントや刺繍(ししゅう)などの手法でカスタマイズできる。自ら参加し、アイテムや人と対話しながら、自分だけのものを創造できる。

「私たちのブランドは、アイテムではなくストーリーをつくっています。なぜならブランドを永遠にするものは、素材でもなく、職人の技術でもなく、そこに生まれる感情だからです。
消費者が自分のクリエイティビティを解き放ち、アイテムに手を加えることで思い出ができ、商品に大きな価値が生まれます。ストーリーがあり、それを所有することでいいフィーリングでいられることが重要で、私たちはとにかくお客さんをハッピーにしたい。そういう関係を新しく生まれたこの場所で構築していきたいと思っています」
フロアごとに異なるやさしい香りに包まれながら、アートに触れ、アイテムを探し、手を加えて創造できる没入空間「HAUS Tokyo」。これまでのラグジュアリーブランドとは違うアプローチに触れられる新しい体験をぜひ。
interview: 宮智 泉(マリ・クレールデジタル編集長) text: Noriko Oba
・この秋はバーガンディにときめく
・モードに愉しむ乗馬のスピリット
