50代は「自分を編集し直す」タイミング
― みんな本当は、何者かになる以前に、それぞれ創造的なんですよね。
田中 そう。特別な作家じゃなくていい。自分の仕事や生活の中で、ちょっと別のやり方を試してみるだけでも、人は十分クリエイティブなんです。
― 先生のお話を聞いていると、50代からこそ、もう一度「自分を編集し直す」タイミングなのだと感じます。
田中 本当に、そう思います。私自身、73歳の今もまだ自分を編集していますから(笑)。「これが私」と決めてしまうと、そこで世界が狭くなる。江戸のクリエイターたちは、厳しい制限の中でも、次々と「次の私」を立ち上げていった。あちこちの連に顔を出し、役割や名前を変えながら生きていた。今の私たちも同じように、いくつもの場を行き来しながら、自分をもう一度ひらいていけばいい。家と職場だけでなく、本の会でも、ご近所の小さな集まりでも、オンラインの学び場でもいい。金銭や肩書から少し離れたところで、自分を編集し直してみる。その過程そのものが、生きることだと、私は思うんです。
江戸から学ぶ、50代からの多様な生き方のヒント
1. 「何者かにならなきゃ」をやめる。
たくさんの私がいていいし、途中で変わっていい。矛盾や揺れをそのまま抱えながら生きるのが人間
2. 小さな「連」をいくつも持つ。
読書会でも、手仕事の会でもいい。お金や評価が目的でない場に身を置く。なければ三人でも始めてみる。
3. 小さな「連」をいくつも持つ。
「今日寒いね」から始めて、相手の言葉や表情をよく見る。
江戸の長屋や縁側のような〝ほどよい距離感〟が、創造の種になる。

