病気は“偶然”ではない。感染症が生まれた本当の理由

病気は“偶然”ではない。感染症が生まれた本当の理由

精製食品も食品添加物もなかった時代、人類にあったのは「病気」ではなく「怪我」だけだった――。がんや糖尿病、高血圧、自己免疫疾患は、そもそも野生動物には存在しない。では、疫病や感染症はいつ、どのように生まれたのか。ピナツボ噴火がもたらした「平成の米騒動」から、ペストや天然痘、梅毒、一夫一婦制やカースト制度まで。歯学博士・吉野敏明氏が生活様式と性、民族移動の歴史から、病の起源と現代日本人のリスクを読み解く。

※抜粋書籍/『医療奴隷』 

歯学博士・吉野敏明氏

◆●疫病や感染症が起こる原因

私が日ごろから警鐘を鳴らしている「四毒」が存在していなかった時代、つまり精製された食品や人工的に作られた食品、食品添加物、農薬、化学肥料、除草剤、遺伝子組み換え食品などがない時代には、病気はほとんどありませんでした。あったのは怪我だけです。では、その怪我はどうやってできたのかというと、多くは捕食者と被食者の関係から発生しました。

たとえばライオンがシマウマを食べようと思って嚙みついたとします。このとき、シマウマは命からがら逃げることができても、背中などの身体に大きな引っかき傷や嚙み傷が残ります。
そこから細菌が入って炎症が起こる、ということは当然起こりました。

しかしこれも、もともとは怪我です。がんや糖尿病、高血圧、それによる脳梗塞や心筋梗塞、パーキンソン病、花粉症、潰瘍性大腸炎、クローン病といった病気は、野生動物にももちろんありません。

そのいっぽうで、気候変動が原因となって起こる疫病は例外です。

1991年、フィリピンのピナツボ山が噴火した影響で、2年後の1993年は記録的な大冷夏となり、ずっと雨が降っていたということがありました。私はこの出来事を鮮明に覚えています。
梅雨の時期が終わっても雨が降り続き、夏になっても雨の日ばかりでした。そしてついに秋雨とドッキングして、梅雨明けしないまま9月の雨のシーズンに突入してしまったのです。そのような状況でしたから、当然お米がなくなってしまい、「平成の米騒動」とも呼ばれる大惨事となりました。

あのときは備蓄米の放出が行われなかったため、皆でタイ米を購入することになりましたが、もっと昔であればこういうときに飢饉や飢餓が起こってしまったわけです。こういった気候変動が原因で引き起こされる疫病や飢えは、少なからず昔から存在しました。

◆●大陸移動が運んだ死

感染症についてはどうでしょうか。

実は、昔は感染症というものがほとんどなかったとされています。

「戦争ではなく、感染症が人類史を作る」という言葉があります。感染症というものは歴史上、何かやってはいけないことをすると広まってしまう性質のものでした。

たとえば、狩猟生活をやめた人類が農業や畜産を始めると、狂犬病のような人獣共通の感染症が発生しました。犬と一緒に暮らしていると、犬が狂犬病になったときに、犬から人間に病気がうつってしまうのです。

あるいは書きづらいですが、家畜と性交をしたりすると、その家畜の腸内細菌や常在菌が人間にうつってしまう、ということもありました。

また、ある人種が別の大陸へ渡ったとき、移住してきた人種はすでに抗体を持っている病気でも、現地の先住民が抗体を持っていないために感染が拡大してしまうことや、その逆も起こりました。

たとえばペストは、もともとは中国の病気でしたが、抗体を持っていない人種との接触をきっかけに、世界中へと感染が広まってしまったのです。

ほかにも、スペイン人によって新大陸に天然痘がもたらされたとき、ヨーロッパ人はすでに抗体ができていたので亡くなったりはしなかったのですが、新大陸の人たちはどんどん亡くなっていってしまいました。

ヨーロッパ人が亡くならず、現地の人だけが亡くなったということで、当時は「これはキリストのおかげに違いない」と捉えられ、アステカ王国やインカ帝国といった国々がキリスト教に改宗したり、あるいはそれで滅亡してしまったり、ということが起きたのです。

こういった病気の流行を避けるために何が行われていたかというと、インドのカースト制度が挙げられます。これは身分制度ですが、実は身分を固定して病気が蔓延しないようにするという目的もあったとされています。


配信元: 日刊SPA!

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