◆●一夫一婦制の防疫論
それから一夫一婦制度も同じ目的で作られたと言われています。性病の蔓延を止めるために、キリスト教は一夫一婦制度を導入したのです。ですが、異なる人種間の交流は、けっして悪いことばかりではありませんでした。
あまり広く知られていないようなのですが、実はモンゴル帝国のチンギス・ハンがヨーロッパまで攻め込んだことによって、東ヨーロッパのあたりまで鍼治療が伝わっているのです。私は東ヨーロッパへ行ったとき、パーキンソン病の治療の第一選択が鍼だと聞いて驚きました。詳しく聞いてみると、それはチンギス・ハンが中国から鍼治療を持ってきたからだよ、と言われたのです。
いずれにしても、これらの感染症は、人工的に起こした疾患ではなく、もともとその土地にしかなかった病気が、人々が動き出して新大陸を探索したり、シルクロードを使ったりすることによってもたらされたものでした。
性病も同様で、コロンブスによって新大陸からヨーロッパに広がった病気だと言われています。あるいは、ルネサンスによって性の解放が進み、いろいろな人と性的な関係を持つようになったために病気が増えたとも考えられます。
そこで、マルティン・ルターによる宗教改革の流れのなかで一夫一婦制度が徹底され、梅毒の広まりが抑制された、とも言われています。
私たち人類は偶然、病気になったのではありません。
先天的な体質に加えて、生活様式の変化(狩猟生活から畜産、酪農、農業へ)、あるいは大規模な移動(民族移動、新大陸への移動)などによって、本来であれば一部に閉じ込められていた感染症に触れ、それが病気として広まってしまったのです。
【吉野敏明】
1967年生まれ。神奈川県横浜市出身。1993年岡山大学歯学部卒業、歯学博士。日本歯周病学会歯周病専門医・指導医。精神科病院理事長、一般病院理事長を歴任。医療問題アナリストとして医療費問題の実態に向き合い、臨床現場と統合医療の実践から現代医療が抱える構造的問題を明らかにしてきた。日本人の命と健康を守る真実の医療を提言すべく、政治団体・日本誠真会を設立し、党首を務める。

