【札幌】⇒【北海道下川町】今の自分も暮らしも好き|北海道下川町移住者インタビュー

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コロナ禍にオープン。地元の人に支えられて

オープンしたのがコロナ禍だったにも関わらず、地域の人たちに支えられてなんとか軌道に乗せることができました。開業した当初は、応援する雰囲気があって良いスタートでしたが、もちろんずっと調子が良かったわけではありません。

子どもがいるのにドキドキするような手取りだったこともあります。でも3年目ぐらいから大口のお客さんが増えたり定期的に注文をくれるお客さんが出てきたりして。継続したからこそ得られた信頼もあったと思いますが、感謝してもしきれないぐらいです。

うちは紙のパッケージを使って、なるべく使い捨てプラスチックを使わないようにしています。だから容器を持って来てくれた人には割引をしていたんですが、脱プラを強く推奨していたわけでもありません。移住してきた人たちは、下川町が環境未来都市に選定されている背景を知っていたり、もともと環境問題に興味があったりする人が多かったから、パッケージを持参するスタイルにも協力的だろうとイメージしていました。

意外だったのは、おじいちゃんおばあちゃんの、もったいない精神の高さ。紙容器も、しっかりした作りのものを採用していたからか、一度使った容器を洗って乾かして、それを再利用しようと持って来てくれるんですよね。ものが少ない時代を知っている方々だからこそ持っている意識なのかなと思いました。

売上のほとんどが町内の人たちなのも、励みになりました。当初、町外に流れるお金をできるだけ町内で回したいという思いから惣菜屋を始めたから、その流れを作る一部にはなれたんじゃないかな。ただ、お店を継続するために大口のお客さんを優先して個人のお弁当を買いに来た人たちの対応に手が回らなくなって、お店を閉める日も増えました。基本的に、言われたことは断らないようにしていたんです。団体さん以外の個人のお客さんにたくさんお世話になっているから、無下にしたくないけどお店を開けるのがかなり不定期になってしまった。理解してもらえて成り立っている感じです。

事業を始めて数年経った頃、町内にある学生寮の食事提供ができないかという話が持ち上がりました。下川町はスキージャンプの選手の育成に力を入れているため日本全国から中高生がプロのアスリートを目指して進学してきます。その下宿先「アイキャンハウス」の管理者が不在で、町外の事業者に管理を委託しようとしているという噂を耳にしたんです。「ケータのケータリング」を始めた時と同じで、このままだと「アイキャンハウス」に関係する町内の事業やお金が町外へ流出してしまうかもしれない。しかも、金額も少なくない。求められる存在で、誰かが困っているならやろうと思い、2025年の春から「アイキャンハウス」の管理と食事提供を請け負うことになりました。

「ケータのケータリング」の事業についても、僕が辞めたら今までかき集めていた需要もまた外に流れちゃうのかと思うと手放したくなかったから、寮の管理も含めて法人化しました。貧乏性なので(笑)。

寮の管理と学生たちの食事作りを行っている。「ケータのケータリング」として冠婚葬祭関連のオードブルや個人のお弁当の注文も並行して請け負う >>>全文はコチラ<<<

優しさを循環させつつ自分でできる範囲を

学生寮の運営なんて初めてだから、今でも分からないことだらけです。特に多感な時期の中高生との距離感はむずかしいですね。最初は、学生全員にヒアリングして、ハウスルールを決めて……とかいろいろ考えていました。でもまずは、お互いどんな人か知る方が大事かなって思って様子を見ています。

事業を引き受けてすぐの頃に一度だけ、寮生を全員集めて話をしたことがありました。入居している子たちの中には、親や親戚がジャンプをやっていた影響を受けて頑張っている子も多いです。アスリートだから自主的に厳しめに体調管理をしている子もいます。たぶん、我慢することが美徳だと思っている子もいると思う。だけど「やりたくないことや、一人でどうしようもないことは相談していいし、無理にやらなくていい」と伝えたんです。「そんなこと言うなんて甘い」と感じる人もいるかもしれないけど、個人的には子どもたちに対して優しくありたいと思っています。優しくされたことのない人は、人に優しくできないと思っているから。僕自身が「親に優しく育てられたから他人にも優しくできるんだ」と感じているからかもしれません。

その日以降、全員の前で話すようなことはしていないですが、最近は僕のことを「啓太さん」って呼んでくれる子も出てきました。でもやっぱり一番嬉しいのは「ごはんが美味しい」って言ってもらえることかな。

来年に向けて、寮のシステムをもう少し改善したいなと思っています。僕だけでなく、他にも手伝ってもらっているスタッフが数名いるので、体制をしっかりさせないと子どもたちが混乱しかねないなと。子どもたちが安心して暮らせる状態にすることを、最優先にして考えています。

たまたま仕出し・惣菜事業と寮の運営を両立させることになって事業が大きくなったけど、環境だったり運だったり、いろいろなことがタイミングよく噛み合ったんです。自分の家族が食べていけるくらい稼げれば良いという考え方は昔から変わっていません。希望する生活水準が高いわけでもないし(生活が)苦しかったら切り詰めればいい。下川のような地域で事業をやっていると、起業したい人に意見を求められたり、ビジネスモデルを聞かれたりすることもありますが、僕が伝えられるのは自分の経験だけ。それに、人によって得意なことや性格があるし、下川町出身かどうかも影響してくると思うから、僕と同じようにやれば成功するなんて絶対言えない。ただ一つ、言えることがあるとすれば今の自分も好きだし、生活も気に入っている。もし下川に来て何か事業や新しいことをやりたいと思っている人がいたら、そういう感覚は伝えたいなと思います。

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配信元: Nativ.media

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