男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
—あの時、彼(彼女)は何を思っていたの…?
誰にも聞けなかった謎を、紐解いていこう。
さて、今週の質問【Q】は?
▶前回:家計を1円単位で管理する経営者の夫。結婚後8ヶ月で、妻に離婚を切り出された理由
健太郎と、最近全然会えていない。二回もデートをしたのに、なんだか反応がおかしい。
― 茉莉花:健太郎くん、来週の週末とかは忙しいかな?
そう送ったLINEに既読はつくし、返信も来る。だから嫌われてはいないはず。それなのに、なかなか会えない。
― 健太郎:そうだね!近々行こう。
「近々」とは、一体いつのことを指しているのだろうか。
― 茉莉花:来週の土曜の夜とかはどう?
― 健太郎:ごめん、土曜の夜は忙しくて。
そしてこちらが具体的な日程を提示すると、こんな感じで毎回かわされる。
果たして、彼は何を考えているのだろうか。そしてなぜ、彼は私に会ってくれないのだろうか?
健太郎と出会ったのは、私の行きつけのバーだった。マスターと仲が良いため、私はよく一人でも飲みに行っていた。
するとそこに、健太郎は別の常連に連れられて来た。
人気バンドのボーカリストにいそうな、少しクセのある髪に、シンプルだけどセンスの良い服装。そしてかけていた黒縁のおしゃれメガネも抜群に似合っている。さらに185cmもある高身長…。と、お店に入ってきた瞬間から「カッコいい人だな」と思った。
健太郎を連れて来た人と三人でカウンターにて話しているうちに、なんとなく自然と仲良くなり、気がついた時には、客は私と健太郎だけになっていた。
「茉莉花さん、明るくて面白いですね」
「健太郎さんも素敵です」
そんな感じで、なんとなく連絡先を交換し、二人で飲みに行くことになった。
初めてのデートは、お互い食事を終えたあと、恵比寿で会うことになった。
「お疲れさま。ごめんね、遅い時間からで」
そう言って、約束のお店に入ってきた健太郎。今日もクラっとするくらいカッコいい。ただ2軒目のせいか、少し疲れているようにも見える。
だから極力明るい笑顔を作って、場を盛り上げることにした。
暗い子より、明るい子の方がいい。これは恋愛の鉄則だ。
「全然大丈夫。むしろお仕事忙しいなか、時間作ってくれてありがとう。今日、会えることすごく楽しみにしていたから、会えて嬉しいな♡」
そういうと、健太郎の顔は急に晴れやかになった。やっぱり、笑顔は最高の特効薬だ。
「ありがとう、そう言ってくれて。僕も楽しみにしていたよ」
「私も新年会で忙しかったから、逆に2軒目からで助かったかも」
「良かった。何飲む?」
「とりあえず…ハイボールにしようかな」
「いいね。俺はロックにしようかな」
乾杯を済ませ、お互いの仕事のことなどを話し始める。
「健太郎くんは、何の仕事をしているの?」
「僕は建築系だよ。茉莉花ちゃんは?」
茉莉花“さん”だったのに、いつの間にか茉莉花“ちゃん”になっている。それが嬉しくて、私は少し椅子を健太郎に近づける。
「茉莉花ちゃんって呼んでくれるの、嬉しいな。私は外資系のブランドで働いているよ。だから一応、カテゴライズではアパレルになるのかな…といっても販売員じゃなくて本部の方だけどね」
「あのバー、よく行くの?」
「うん。一人で飲みたい時には行く感じかな。マスターとも仲良いし、一人でも通いやすくて。普段はそんなに一人で飲まないけど、あのお店だけは特別なんだよね」
「俺はこの前初めて行ったけど、いい店だよね」
「そうなの〜!居心地も良いし、雰囲気も良いから何となく通っちゃうよね?」
そんな会話をしているうちに、どんどん夜は更けていく。そして気がついたら、もうすぐ24時だ。そして隣にいる健太郎が、何だか顔がほわんとしてきた。
「あれ?酔っ払ってるの?可愛い」
「可愛いとか言わないで。というか、茉莉花ちゃん。時間は大丈夫?」
「うん、大丈夫。今日は金曜だし、明日は仕事がお休みだから。健太郎くんは時間大丈夫?」
「うん、俺は何時でも。そういえば、茉莉花ちゃんのお家ってどこだっけ?」
「私は中目黒だから、歩いて帰れる距離だよ。健太郎くんは?」
「僕は恵比寿。そっか、お互い家が近いんだね」
ただ結局この日は深夜1時まで飲んだものの、会話がフワフワしており、そこまで仲が深まったとまでは言えない気がする。
恋愛の話もまったくしていない。これでは何も進まない。
― 時間が足りなかったかな…。
そう思ったので、帰り際に私は念を押してみた。
「健太郎くん。次は、ご飯に行かない?」
「うん、そうしよう」
こうして、無事に二度目のデートに進むことになった。
こうして、二度目のデートがやってきた。健太郎が予約してくれていたのは池尻大橋にある、おしゃれな人たちが集う『OMA』だった。
「ここ来たことあった?」
賑わう店内で、私たちは横並びのカウンター席に座る。
「うん、何度か。来ている人たちも池尻大橋っぽくて、いいよね」
「池尻大橋っぽい?」
「そうそう。若手クリエーターとか、それこそ健太郎くんのような建築系?とか。才能溢れる若い世代の人たちが集うって感じ。私の友達のスタイリストとか、アーティストの子とか…。最近流行りの歌手の子も友達にいるんだけど、この界隈に住んでいる人が多いんだよね」
「茉莉花ちゃん、顔広そうだもんね」
「どうだろう。昔からよく飲み歩いていたら、いつの間にか友達が増えていった…って感じかな。健太郎くんは?」
「俺はむしろ家でのんびり、一人で過ごす時間とかも好きだから、逆に友達は最低限って感じかな」
たしかに、健太郎は、“友達100人!”というよりは、濃く、深く…という雰囲気だ。
「わかるわ〜。健太郎くん、絶対そっちのタイプだよね」
今日は、健太郎と話がよく弾む。前回は私が愛嬌を振りまいて会話を盛り上げていた感じがあったかもしれないけれど、今日は違う。
ナチュラルワインを飲みながら、美味しいつまみも進む。
「あ〜本当に美味しい♡ここ、お料理もお酒も最高だね。素敵なお店を選んでくれて、ありがとう。さすが健太郎くん、お店選びのセンスまでいいんだね」
「お店だけじゃなくて、僕まで褒めてくれるの?」
「もちろんです!だって、本当に最高だから」
「茉莉花ちゃんって、明るいよね」
「そう?嬉しい」
今日のデートでは、健太郎の話に対して少しオーバーくらい反応するように心がけていた。そしてとにかく褒めると決めていた。
その成果が出たんだと思う。だから今日は、健太郎とも一気にこんなに仲良くなれている。
「あと茉莉花ちゃん、若いよね」
「え?そう?」
健太郎は、34歳くらいだったはず。私も33歳だし、そこまで変わらない。
「でも私たち、ほぼ同じ年じゃない?」
「そっか。見た目が若いからかな」
「え〜嬉しい。でも私、NO 美容医療なんだ。周りのみんなは韓国へ行ったり、ボトックスとかヒアルとか色々とやっているみたいだけど、本当に私は何もしていなくて」
「へ〜すごいね。可愛いもんね、茉莉花ちゃん」
「本当に?嬉しい!ありがとう」
「可愛い」とまで言われて、盛り上がったこのデート。完全に、次があると思っていた。
しかしこのデート以降、何となく健太郎は私のことを避けている気がする。楽しかったはずの二度のデート。
果たして、健太郎は今、何を考えているのだろうか。
▶前回:家計を1円単位で管理する経営者の夫。結婚後8ヶ月で、妻に離婚を切り出された理由
▶1話目はこちら:「あなたとだったらいいよ♡」と言っていたのに。彼女が男を拒んだ理由
▶NEXT:2月1日 日曜更新予定
男が二度のデートで思っていたことは?

