毎年、冬の時季になると渇望する食材がある。旬を愛でる楽しみはもちろんのこと、その食材のポテンシャルが最大限に引き出される食べ方で堪能したい。
読者アンケートをもとに、4つの食材とその魅力を引き出した逸品をご紹介。
【第4位】ふぐ
~信頼できる老舗で食べたい、端麗な白身の王者~
淡白な味わいのふぐも、真冬には脂がのって旨みが凝縮してくる。種類の多いふぐだが、冬に食べたいのはふぐの王様といわれるトラフグだ。
さっぱりとしつつも奥深いふぐは、揚げや焼きも良いが、ぽん酢でいただく薄造り、いわゆる「てっさ」が格別なのだ。
咲いたふぐの花に歓喜!
ふぐは、こなれた大人が通う、古くからある気取らない店こそ正解。なぜならコースだけでなく、単品で自由に味わえる楽しみがあるから。
街に溶け込むようにある間口の小さな『ふぐ武』は、麻布十番を闊歩する文化人や上客がさらりと訪れる。
2026年に60周年を迎え、古き良き麻布十番の人情味溢れる空気をいまに伝えている。店内の主役は、小さな7席だけのカウンター。気取らず楽しんでほしいという店の思いがにじむ心地良い空間だ。
名物の「てっさ」は、歯ごたえと旨みのバランスが大切だという。
全国のふぐの中でも「畜養のてっさ」(¥8,800)は手頃に楽しめるが、天然ものは入荷次第で時価になる。
お店に通う常連のソムリエが編み出したという“ふぐシャン”。
ことに、ふくよかさのある「ボランジェ」(¥17,000)と、ほのかな甘みを滲ませる「てっさ」のマリアージュは完璧だ。
【第3位】寒ブリ
~本場・北陸産を狙いたい濃厚な脂ののった冬の味覚~
寒さが本格化する冬、北陸の海で育つ寒ブリは、皇室にも献上されるほどの、極上の食材。脂をたっぷりと蓄えた身は、香りの余韻が長く、濃厚な味わいながら体が喜ぶ良質かつ上質な逸品。
鮮度抜群の極上ものを素材を生かしたしゃぶしゃぶで味わうのが格別だ。
優しい火入れで旨みが倍増!
品質が味を左右するブリしゃぶは、やはり天然ものが最上だ。
『能登美 新橋店』の店主の故郷・石川県七尾の漁港から仕入れるここなら、その期待を裏切らない。
同店が誇るのは、能登の海と山の恵み。冬には寒ブリをはじめ、店主がよく知る地元の漁港で水揚げされる新鮮な魚介が次々入荷する。東京では希少な食材を気軽な価格で味わえるのが魅力だ。
冬のイチオシはもちろん「元祖天然ぶりしゃぶ」¥2,590。白くきらめく脂のサシが美しいブリは、軽く出汁にくぐらせることで甘みや旨みが増す。
身は口の中で上品にほどけ、旨みがじんわりと広がり、たっぷりの野菜と食べても脂がのったブリが負けない。
繊細さを持ち合わせた寒ブリに合わせるなら、同じ北陸の旨みたっぷりの日本酒を。
ひやおろしの純米原酒「宗玄」(¥1,580)や、穏やかだがキレがある「池月」(¥1,320)がオススメだ。
【第2位】牡蠣
~冬ならではの濃厚な海のミルクは新鮮さ重視でいく!~
冬の海が育てた牡蠣は、同じ“牡蠣”でも夏のものとはまるで趣が異なる。冷たい海水の中でゆっくりと滋味を重ねた身はふっくらと張りがあり、噛むほどにやわらかなコクが広がる。
寒さが深まるほどに甘みは際立ち、まさに冬だけの美味がここに極まれる。
全国から選りすぐりの生牡蠣を集めた、オイスターバー
フレッシュな牡蠣を思いのままに食べ比べ
かつてのカジュアルな雰囲気から2025年1月にリニューアルし、モダンで洗練された空間になった『地下の粋』。
生牡蠣の他、牡蠣を贅沢に使った料理も充実している。
鮮度が命の牡蠣なら、豊洲市場の仲卸が手がける直営店が間違いない。
牡蠣の種類の多さも品質も、鮮度もすべてに納得がいくだろう。
日替わりで6種の生牡蠣をそろえるが、人気は「本日の生牡蠣食べ比べセット」¥1,800。この日は北海道のサロマ湖とマルえもん、岩手・赤崎の3種で、個性の違いが楽しめる。
牡蠣の食べ比べは、海のテロワールを味わうような、密かな大人の贅沢だ。
牡蠣に合うワインなら、太古は海だったというミネラル豊富な土壌で造られる“シャブリ”が定番。
柑橘のようなフレッシュな酸とミネラルが牡蠣の旨みに寄り添う。グラス¥1,100。
【第1位】カニ
~冬のご馳走の代表格は、とことん贅を尽くすが大人の正解~
初競りでは驚くほど高値で競り落とされるカニ。その存在は、まさに冬の味覚の頂点だ。
旬を迎えたカニは、ぎゅっと詰まった身はもちろん、内臓やカニ味噌まで、宝物のような旨みに満ちている。鍋や蒸し、焼きなど調理法によって表情が変わるのもたまらない。
最高の火入れがカニの甘みを底上げする
冬に食べたいランキング1位のカニだからこそ、とことん贅沢に味わいたい。そんな野望を満たしてくれるのがこの『かにじぇんぬ麻布』だ。
今年誕生した麻布店は、わずか2部屋のラグジュアリーなプライベート空間。1kg超えの松葉ガニや、特大タラバなどを余すところなくその季節ごとの食べ方で供する。カニラバー感涙のフルコースだ。
毎日直送される、熟練の目利きが選び抜いた極上のカニを、刺身から〆の土鍋ご飯まで余すことなく堪能できる。
名物の「出汁しゃぶ」は、澄んだ出汁にくぐらせた瞬間、ふわりと花が咲き、上品な甘みとカニの旨みがじんわりと広がる。
「活け松葉蟹コース」(3月まで)¥65,000。
カニを味わい尽くすなら「カニ酒」(1合¥1,500)がオススメ。
カニの足を香ばしく焼き上げ、お燗酒にドボン。焼きガニのふくよかな香りとともに、足からカニの味が溶けだす。
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