
採用は完全な「売りて市場」であり地方企業が人材争奪戦を勝ち抜くには、候補者本人だけでなく家族や生活まで含めて“本気で口説きにいく覚悟”が不可欠な時代になっています。本記事では、地方企業の採用戦略の変化と、転職希望者が意識すべきことについて、サーチ・ビジネス(ヘッドハンティング)の先駆者である東京エグゼクティブ・サーチ(TESCO)代表取締役社長・福留拓人氏が解説します。
地方企業の「強烈な採用」が始まっている
企業間の格差は、売上や利益だけでなく、人材採用に投じられる経営資源にも大きく表れるようになりました。
とりわけ採用市場では、都市部の大企業や外資系企業でさえ人材確保に苦戦する時代です。
その影響は、いわゆる「地方の雄」と呼ばれる優良企業にも及んでいます。企業としての魅力や実績があっても、地方にあるというだけで候補者の選択肢から外される。こうした状況のなかで、採用のハードルは年々高くなっています。
しかし一方で、ロケーションの不利を前提に、発想を根本から切り替えた地方企業も増えています。「選ばれるのを待つ」のではなく、「こちらから本気で口説きにいく」採用へと舵を切っている、その例を見ていきましょう。
1. 社長が自ら出向いて「出張面接」
有望な人材に対して、候補者の居住地や勤務地までオーナー社長自らが出向き、一次面接を行う。こうした採用スタイルをとる地方企業が出てきました。
地方の有力企業は、東京などの大都市ほど数が多くありません。また、その土地では尊敬を集める「地元の名士」のような存在であることもあります。そのため、かつては「なぜウチに入りたいのか?」という、企業側が選ぶ前提の保守的な面接が一般的でした。しかし、その時代はすでに終わりつつあります。
採用環境の変化を素早く捉えた経営者は、一次面接の段階から候補者の能力や人柄を見極めつつ、自社の魅力を自らの言葉で伝え、動機付けを行うという姿勢に切り替えています。例えば、二次面接以降は旅費交通費を企業側が負担し、会社見学に招く。「来てもらう」のではなく、「迎えに行く」。この姿勢の転換が、地方企業の採用では増えてきているのです。
