転職者側が意識すべきこと
このように、ロケーションという不利を挽回しようと、採用に本気で投資する地方企業は確実に増えています。かつてはエージェントが助言していた施策を、今では企業自身が主体的に実行する時代です。
もはや「うちは地方だから仕方がない」という言い訳は通用しません。優秀な人材に出会えたとしても、売り手市場にふさわしい覚悟と準備がなければ、最終的に選ばれることはないでしょう。出遅れを感じている企業こそ、手遅れになる前に、採用における最大限の努力を始めるべき時期に来ているのです。
こうした採用環境の変化は、企業だけでなく、転職者側にも確実に影響を及ぼしています。そこで最後に、これから転職を目指す人が意識するべき点をまとめました。
①「地方企業=条件が劣る」という前提を疑う
これまで給与や福利厚生、家族面での負担は「地方だから仕方がない」とされがちでした。しかし現在は、企業側がロケーションの不利を補う前提で条件設計をしているケースも増えています。最初から選択肢から外してしまうのは、機会損失になりかねません。
② 交渉は“わがまま”ではなく、当たり前のプロセス
出張面接や支度金、家族支援などは、特別扱いというより「優秀な人材を迎えるための投資」です。転職者は遠慮しすぎる必要はなく、家族構成や生活上の制約を正直に伝えたうえで、どこまで支援が可能かを冷静に確認すべきでしょう。
③ 会社だけでなく「生活全体」を見て判断する
仕事内容や年収だけでなく、住環境、家族の負担、教育環境まで含めて検討できる時代になっています。企業がそこまで踏み込んで提示してくる場合、それは長期的に人材と向き合う意思の表れとも受け取れます。
大切なのは、条件に振り回されることではなく、自分と家族にとって何が現実的で納得できる選択かを、冷静に見極めることだといえるでしょう。
福留 拓人
東京エグゼクティブ・サーチ株式会社
代表取締役社長
