私にも、お金ちょうだい…仕送りが途絶えた78歳義母の“まさかの要求”。亡き夫が残した〈2,800万円〉を支えにする52歳妻に訪れた「静かな修羅場」【FPが解説】

私にも、お金ちょうだい…仕送りが途絶えた78歳義母の“まさかの要求”。亡き夫が残した〈2,800万円〉を支えにする52歳妻に訪れた「静かな修羅場」【FPが解説】

残された妻に、義母を扶養する義務はあるのか?

制度上、結論は明確です。残された妻が、夫の母親(義母)を扶養する法的義務は原則としてありません。

民法は「直系血族および兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある」と定めていますが、直系血族とは、自分と血のつながりがある親・祖父母・子・孫などで、義理の父母はこれに含まれません。また、今回のケースでは、相続人は恵子さんと子ども2人。義母には相続権はなく、死亡保険金も受取人である恵子さん固有の財産とされます。

数字を整理してみましょう。預貯金300万円と受け取った2,500万円を合わせると、2,800万円です。ここから、長男の後期学費約50万円、次男の将来の教育費として見込む700万円、合計750万円を差し引くと、残るのは約2,050万円です。

一見すると、十分な金額に見えるかもしれません。しかし、恵子さんのパート収入の年100万円ほど。65歳になるまでは遺族厚生年金と中高齢寡婦加算で年130万円前後の収入見込みもありますが、マンションの修繕積立金や管理費の上昇、そして何より自分自身の老後資金を考えると、「義母に渡せる余裕はない」というのが正直な気持ちでした。

52歳という年齢から、正規雇用への就職も検討していますが、生活を立て直すには少なくとも1~2年はかかるでしょう。見通しが立たない中で、義母にお金を渡すことは、精神的にも現実的にも重い判断でした。

義父は他界しており、義母が不安になる気持ちが理解できないわけではありません。年金生活で余裕がないからこそ、夫も仕送りをしていたのでしょう。

それでも、「このお金は、もうこの世にいない夫が、私と子どもを守るために遺してくれたものではなかったのか」という思いも、ぬぐい切れませんでした。

義母の「当たり前」と、いまの制度がすれ違う理由

義母が「息子が親の面倒を見るのは当たり前」と考える背景には、時代の違いがあります。

義母が若い頃は、戦前の家制度の名残もあり、親の老後は家族が支えるものという価値観が社会に根付いていました。年金制度も今ほど整っておらず、「子が親を支える」のが当然とされてきた時代を生きてきたのです。

だからこそ義母は、息子が遺したお金の一部についても、「それは自分のもの」「受け取って当然」と感じたのかもしれません。

一方で、現在の制度では、残された妻が義母を扶養する義務はありません。この「価値観としての当たり前」と「法律としての現実」のズレが、相続やお金の場面で表面化しやすくなっています。

なお、今の50〜60代でも、親の相続では「長男が多く相続するのは当たり前」と感じている人は少なくありません。かつてのように親の面倒を見ているわけではなくても、慣習としての“長子相続”の良い部分だけを主張し、結果的に兄弟間の対立や、いわゆる「争族」に発展してしまうケースも、現場では珍しくありません。

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