今週のテーマは「盛り上がったはずなのに、二度のデートで終わった理由は?」という質問。さて、その答えとは?
▶【Q】はこちら:デートの雰囲気はよかったのに…。33歳女が、たった2回で男にフェードアウトされた理由とは
仕事中に、スマホが鳴った。何となく相手が誰かわかったので、僕は一旦そのままスルーしてみる。
夕方になって時間ができたのでチェックしてみると、やっぱり相手は茉莉花からだった。
― 茉莉花:健太郎くん、来週の週末とかは忙しいかな?
「はぁ…面倒だな」
思わず、メッセージを読みながら心の声が漏れてしまった。ただ一応、既読スルーは大人としてどうなのかと思うので、返信だけは打つ。
― 健太郎:そうだね!近々行こう。
こちらは、毎回上手くかわしている。それなのに、まったく気がつかない茉莉花はまだ誘ってくる。
― 茉莉花:来週の土曜の夜とかはどう?
― 健太郎:ごめん、土曜の夜は忙しくて。
二度ほどデートをした茉莉花。可愛かったし、最初はいいかなと思った。
ただ彼女と二回食事へ行くと、「可愛いけれど、二度で十分だ」と思う女性だった。
茉莉花とは、知り合いに連れて行ってもらったバーで出会った。その店の常連のようで、彼女は一人で来ていた。
目が大きくて可愛くて、華奢ながらもメリハリがあって、純粋に「この子、可愛いな」と思った。
最初は、連れて行ってもらった人と3人で飲んでいたのだけれど、気がつけば僕は茉莉花と2人で話していた。
「茉莉花さん、明るくて面白いですね」
「健太郎さんも素敵です」
そして自然な流れで連絡先を交換していた僕たち。そして、すぐにまた会うことになった。
しかし、なかなかお互いの予定が合わず、お互い別々で食事を終えた後、2次会から会うことになった。
「お疲れさま。ごめんね、遅い時間からで」
すると、茉莉花は満面の笑みで答えてくれる。
「全然大丈夫。むしろお仕事忙しいなか、時間作ってくれてありがとう。今日、会えることすごく楽しみにしていたから、会えて嬉しいな♡」
今日も、可愛い。僕も思わず笑顔になった。
「ありがとう、そう言ってくれて。僕も楽しみにしていたよ」
「私も新年会で忙しかったから、逆に2軒目からで助かったかも」
「良かった。何飲む?」
「とりあえず…ハイボールにしようかな」
「いいね。俺はロックにしようかな」
こうして、デートが始まった。ただこの時の僕は、酔っ払っていたせいなのか、何なのか…。まだ気がついていなかった。
「健太郎くんは、何の仕事をしているの?」
「僕は建築系だよ。茉莉花ちゃんは?」
しかしこの会話あたりで、何となくの違和感を覚える。
「茉莉花ちゃんって呼んでくれるの、嬉しいな。私は外資系のブランドで働いているよ。だから一応、カテゴライズではアパレルになるのかな…といっても販売員じゃなくて本部の方だけどね」
そう言いながら、なぜか近づいてきた茉莉花。しかし同時に、僕は違うことを考えていた。
― よく話す子だな。
何となく、そう感じた。
「あのバー、よく行くの?」
「うん。一人で飲みたい時には行く感じかな。マスターとも仲良いし、一人でも通いやすくて。普段はそんなに一人で飲まないけど、あのお店だけは特別なんだよね」
「俺はこの前初めて行ったけど、いい店だよね」
「そうなの〜!居心地も良いし、雰囲気も良いから何となく通っちゃうよね?」
話してくれる女性は嫌いではない。だから完全に嫌とかではないのだけれど、少し話を振ると、倍以上返ってくる。
だから適度に相槌を打ちながらゆっくりと酒を飲んでいると、想像以上に酒が回ってきてしまった。
「あれ?酔っ払ってるの?可愛い」
「可愛いとか言わないで。というか、茉莉花ちゃん。時間は大丈夫?」
「うん、大丈夫。今日は金曜だし、明日は仕事がお休みだから。健太郎くんは時間大丈夫?」
「うん、俺は何時でも。そういえば、茉莉花ちゃんのお家ってどこだっけ?」
「私は中目黒だから、歩いて帰れる距離だよ。健太郎くんは?」
「僕は恵比寿。そっか、お互い家が近いんだね」
しかも、別に大した内容の話ではない。恋愛の話などもほぼしていない。だから正直、この1回のデートではわからない。
そう思っていると、茉莉花の方から帰り際に二度目のデートに誘ってきてくれた。
「健太郎くん。次は、ご飯に行かない?」
「うん、そうしよう」
もちろん断る理由もなく、僕たちはもう一度会うことになった。
二度目のデートは、たまに行く、池尻大橋にある『OMA』にした。料理はもちろんのこと。雰囲気もかしこまり過ぎず、カジュアル過ぎず。二度目のデートにちょうど良い感じだ。
でも、このデートで僕は色々と悟ることになる。
「ここ来たことあった?」
最初は、何も感じていなかった。
「うん、何度か。来ている人たちも池尻大橋っぽくて、いいよね」
「池尻大橋っぽい?」
しかしこの短い質問に対して、茉莉花は雪崩のように一気に話し始めた。
「そうそう。若手クリエーターとか、それこそ健太郎くんのような建築系?とか。才能溢れる若い世代の人たちが集うって感じ。私の友達のスタイリストとか、アーティストの子とか…。最近流行りの歌手の子も友達にいるんだけど、この界隈に住んでいる人が多いんだよね」
しかも、よく話すだけではない。
若干面倒な、「〇〇さん知ってる」とか「芸能人と友達」アピールまで入ってきた。
― あれ?この子ってこういう感じか。
そして茉莉花のトーク・アタックは止まらない。
「茉莉花ちゃん、顔広そうだもんね」
「どうだろう。昔からよく飲み歩いていたら、いつの間にか友達が増えていった…って感じかな。健太郎くんは?」
「俺はむしろ家でのんびり、一人で過ごす時間とかも好きだから、逆に友達は最低限って感じかな」
「わかるわ〜。健太郎くん、絶対そっちのタイプだよね」
そして、今日も反応が大きい。
反応が大きいのは嬉しいけれど、「本当か?」となるし、段々とそのオーバーリアクションの相手をするのも疲れてきた。
「あ〜本当に美味しい♡ここ、お料理もお酒も最高だね。素敵なお店を選んでくれて、ありがとう。さすが健太郎くん、お店選びのセンスまでいいんだね」
たしかにこの店は、料理もお酒も美味しい。
それに僕自身のことまで褒めてくれている。それは素直に「ありがとう」と言った方がいいのだろう。
― でもなんか…。
悪いことを言っているわけではないけれど、どうにも拭えない違和感ばかりが広がっていく。
「お店だけじゃなくて、僕まで褒めてくれるの?」
「もちろんです!だって、本当に最高だから」
「茉莉花ちゃんって、明るいよね」
「そう?嬉しい」
「あと茉莉花ちゃん、若いよね」
「え?そう?」
会話を盛り上げようとしてくれるのは有り難いけれど、どうも盛り上がらない。
「でも私たち、ほぼ同じ年じゃない?」
「そっか。見た目が若いからかな」
たしか茉莉花は僕と1歳しか変わらなかったはず。だから33歳だったと記憶しているけれど、もう少し落ち着いても良いのではないかと思う。
「え〜嬉しい。でも私、NO 美容医療なんだ。周りのみんなは韓国へ行ったり、ボトックスとかヒアルとか色々とやっているみたいだけど、本当に私は何もしていなくて」
「へ〜すごいね。可愛いもんね、茉莉花ちゃん」
「本当に?嬉しい!ありがとう」
そして何より、会話が面白くない。
美容医療をしていないことは、自慢になるのだろうか。よくわからない。
でも何度も言うけれど、別に人の悪口や愚痴を言っているわけではない。
ただただ、ずっと茉莉花のお喋りに付き合うのがしんどいだけだ。
― うーん。どうなんだろう。
暗すぎるのもダメだけれど、一人でずっと喋るような子も微妙だ。たまに会うくらいだったら良いけれど、もしこの先付き合って、結婚して…そんなことも想像できないし、一緒に暮らすなどとなったら、疲れ果てると思う。
完全にダメ、というわけではない。しかしこちらが元気な時や気持ちにゆとりがあって、ゆっくり話を聞いてあげられるほど余裕がない時以外はキツい。
だから僕は、何となくずっと会うのを避けている。
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▶1話目はこちら:「この男、セコすぎ…!」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
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悲しき男の勘違い

