
近年街角でよく見かける、「保険の見直し」を謳う保険ショップ。しかし、数十社の保険商品を比較して最適な保険に加入したつもりでも、あとになって“保険以外の選択肢”に気づき、後悔するケースも少なくありません。この点、資産1億円以上の富裕層は、保険より別の分野に積極的に投資している様子……。磯山裕樹氏の著書『夫婦貯金 年150万円の法則』(青春出版社)より、一般的な家庭と資産1億円以上の富裕層、「お金の使い方」の違いについてみていきましょう。
20社分比較したのに…「保険の見直し」の意外な“盲点”
以前、「保険ショップで20社の保険商品を比較して、すごく良い貯蓄保険に加入できたので、保険は特にアドバイスはいらないと思います!」と自信満々な夫婦からご相談がありました。
「貯蓄保険のなかでは良い商品かもしれないですね。貯蓄する方法には、その他にもiDeCoやNISAなどもあると思いますが、保険ショップでそれぞれを比較して検討されましたか?」とお聞きすると「比較していない」と言われました。
私は、貯蓄保険、iDeCo、NISAについて、それぞれのメリット・デメリットをお伝えしました。すると、「iDeCo・NISAを活用してお金を貯めたい!」と言われましたが、貯蓄保険は入った瞬間に手数料がかかり、短期間で解約すると大きな損になるので、その夫婦はすごく後悔していたのを鮮明に覚えています。
最近は、保険ショップで、複数の保険商品を比較して選ぶことができるのが当たり前です。そんななか、よくある失敗が、すべてを保険で解決してしまうことです。もしかしたら、問題の解決方法は、保険ではなく、病気にならないようにするための普段の食事や運動、病気を早期発見するための健康診断や人間ドックかもしれません。
保険を比較すると、良い保険は見つかるかもしれませんが、それ以外の選択肢に気づくことができない可能性があります。「木を見て森を見ず」ですね。
投資、保険、住宅ローン、不動産、預金など、家計は全てつながっています。投資だけ、保険だけ、住宅ローンだけなど、それぞれを個別に見直してもうまくいきません。家計は「部分的にコツコツ」見直すのではなく、「全体的に一気に」見直しましょう。
「2007年に日本で生まれた子の半分は、107年以上生きる」
『LIFE SHIFT』(リンダ・グラットン著、アンドリュー・スコット著、池村千秋翻訳、東洋経済新報社)という2016年に発売された本があります。そこには、次のように書かれています。
〈国連の推計によれば、2050年までに、日本の100歳以上人口は100万人を突破する見込みだ。〉
〈2007年に日本で生まれた子どもの半分は、107年以上生きることが予想される。いまこの文章を読んでいる50歳未満の日本人は、100年以上生きる時代、すなわち100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい。〉
「長生きなんてしないので大丈夫です」と言われる人がいますが、人生100年時代が現実的になっています。「100年生きても大丈夫な」家計を作るためには、100歳まで生きることを考えて、長期目線で有利な選択をすることが重要です。
人生は「現役」「老後」の2つのステージに分けることができます。現役ステージでやるべきことは、次の2つです。
1.家計の収支をコントロールして必要な額を貯蓄し、適切に保管する。
2.働けなくなる、自動車事故、家の火災などで、人生が途中で終わるリスクに備える。
老後ステージでやるべきことは、次の2つです。
1.資産が枯渇しないように、計画的に取り崩す。
2.次世代に資産と想いを繋ぐ(相続する)。
とてもシンプルなことですが、人はどうしても短期的な目線で考えてしまうので、長期的な目線で家計管理をするのは意外に難しいです。長期的な目線で今どの選択をするのが、夫婦としてベストなのか考えていきましょう。
