限定品や希少品が市場に出回り、プレミアム価格(プレ値)がつくようになって以来、いわゆる“スニーカーブーム”が加熱した。
ところが、直近では「スニーカーブームは終わった」との声も聞かれる。消費者志向の変化や市場の成熟化などが要因になっているが、果たしてその真相はどうなのだろうか?

◆2010年代ごろから“プレ値”がつくスニーカーブームが始まった

2017年頃からは「エア マックス」などさまざまなモデルが次々とリリースされ、スニーカーマーケットはさらに盛り上がりを見せていく。だが、そうしたブームの裏には大きな課題があったと神さんは言う。
「ブームによってスニーカーが定価以上で売れる状況になると『偽造品』が出回るようになります。特にフリマアプリなどの個人間取引では、真贋鑑定や検品体制がないため、偽物が届いてしまうリスクが大きな問題となっていました。
そこで、スニダンでは『全商品に鑑定・検品を付ける』というサービスを打ち出しました。専門家が本物かどうかを鑑定し、さらに初期不良がないかを検品してからユーザーに届ける仕組みを構築しました。それが市場のニーズに合致し、多くのお客様に支持いただけたことで、ユーザー数もスニーカー市場の拡大とともに増えていきました」(神さん、以下同)
さらに、「トラヴィススコット×ナイキ」や「オフホワイト×ナイキ」、「ティファニー×ナイキ 」のような、著名アーティストやハイブランドとのコラボモデル発売や、シュプリームの人気が国内でも爆発的に高まり、ストリートファッション好きの人たちがスニーカー市場の成長を後押した。そして鑑定・検品付きのスニダンが支持され、現在のように月間600万人以上が利用するサービスに成長したそうだ。
◆ナイキ一強からの脱却。多様化するスニーカー市場の現状

「今まで主流だったエアジョーダンのようなハイテクでハイカットのモデルから、よりローテクなスニーカーへと流れが移ってきています。例えば、アディダスの『サンバ』は女性を中心にかなり支持され、ローテクスニーカー人気の火付け役として定着しました。現在は店頭で普通に買えますが、当時はプレ値がつくほどの隆盛だったんですね。
ニューバランスも900番台のモデルが特に人気で、以前はほとんどが抽選販売になるなど、ナイキ以外のブランドの台頭が目立ちました。このように、直近ではナイキのスニーカーを買っていた層が、いろんなブランドに分散するようになっていて、スニーカー全体の取引量自体は落ちていないんです」

最近では、ナイキの「セリーナ・ウィリアムズ デザインクルー × ナイキ ウィメンズ エアマックス フェノメナ」といったローファー型スニーカーが人気を博しており、フォーマル寄りのコーディネートにも取り入れやすいデザインに仕上げた新感覚のスニーカーに注目が集まっているとのこと。
「スニーカーブームを見てみると、かつては一部の熱心なファンやマニアの間で盛り上がっていました。それが、今では広く一般層にも浸透していて、特に以前はスニーカーをあまり履かなかった女性の間でも、歩きやすさとデザイン性を兼ね備えたものが増えたことで、普段履きの選択肢としてスニーカーを取り入れる人が確実に増えていると感じます」

