2月の節分〜立春に飾りたい「厄除け植物」7選
ヒイラギ|なぜトゲは邪気を払うのか

ヒイラギの鋭いトゲは、日本だけでなく世界各地で「魔除けの象徴」とされてきました。
ヨーロッパでは、同じくトゲのあるホーリー(西洋ヒイラギ)を玄関に飾ることで、悪霊の侵入を防ぐ習慣が中世から続いています。中国や朝鮮半島でも、鋭利な植物を戸口に置くことで、悪い気を跳ね返すと考えられてきました。
鋭い形状は、人間の本能的な警戒心を刺激します。その心理効果が「魔除け」という象徴へと昇華し、世界共通の文化表現になったと考えられています。

【Plants Data】
和名:ヒイラギ
学名:Osmanthus heterophyllus
英名:Holly Osmanthus
科名:モクセイ科
属名:モクセイ属
形態:常緑小高木
樹高:2〜5m(鉢植え:1〜2m)
開花期:10〜11月
観賞期:通年(葉)
日照:半日陰〜日向
耐寒性:強
耐暑性:強
特徴・ポイント:
鋭いトゲのある葉を持ち、日本では古くから魔除けの象徴。常緑で一年中美しい姿を保ち、玄関や庭木として最適。
ナンテン|「難を転ずる」=厄除け

ナンテンは日本で最も親しまれてきた縁起木のひとつです。「難を転ずる」という語呂合わせに加え、常緑で冬にも葉を落とさず、寒さの中でも赤い実を結ぶ姿が、不屈・再生・繁栄の象徴とされてきました。江戸時代には、鬼門(北東)除けの庭木として、武家屋敷や町家の裏鬼門に盛んに植えられています。

【Plants Data】
和名:ナンテン
学名:Nandina domestica
英名:Sacred bamboo
科名:メギ科
属名:ナンテン属
形態:常緑低木
樹高:1〜3m(矮性種:30〜80cm)
開花期:6〜7月
観賞期:11月〜翌年2月(実)
日照:半日陰〜日向
耐寒性:強
耐暑性:強
特徴・ポイント:
「難を転ずる」の語呂合わせで縁起木として定着。赤い実は冬の庭や玄関を華やかに彩る。
シキミ|香りで浄化

植物の香りは、古代から最も強力な浄化手段とされてきました。
- 日本:仏前供花・線香
- 中国:香木による場の浄化
- 古代エジプト:香油による結界
- ヨーロッパ:教会での香炉
いずれも共通しているのは、香りが「見えない世界」と現実世界をつなぐ媒体と考えられていた点。シキミの清涼感ある芳香は、場の空気を切り替え、精神を鎮め、空間を清浄に戻すと信じられてきました。
【Plants Data】
和名:シキミ
学名:Illicium anisatum
英名:Japanese star anise
科名:マツブサ科
属名:シキミ属
形態:常緑小高木
樹高:2〜5m
開花期:3〜4月
観賞期:通年(葉・樹形)
日照:半日陰
耐寒性:強
耐暑性:強
特徴・ポイント:
芳香のある葉を持ち、仏事に使われることから浄化の象徴。日陰にも強く、庭の北側に適する。*果実には強い毒があるので、花後に花がらを摘んで実がならないようにすると安心。
センリョウ|赤い実で邪気払い

赤は、世界中で魔除けと生命力の象徴色です。
- 日本:赤子の産着、鳥居
- 中国:春節の赤装飾
- 古代ローマ:戦勝の赤
- ケルト:魔除けの赤糸
赤は血と太陽を連想させ、生命力の最も強い色と考えられてきました。センリョウの赤い実は、冬という“陰”の季節に現れる「陽の象徴」。だからこそ、邪気を跳ね返し、福を呼び込む存在として、正月飾りにも重用されてきました。
【Plants Data】
和名:センリョウ
学名:Sarcandra glabra
英名:Japanese spurge
科名:センリョウ科
属名:センリョウ属
形態:常緑低木
草丈:30〜100cm
開花期:6〜7月
観賞期:11月〜翌年2月(実)
日照:日陰〜半日陰
耐寒性:強
耐暑性:強
特徴・ポイント:
赤い実が冬に映える縁起植物。庭の下草や玄関の鉢植えに最適。
冬の白花|白色の「浄化」の力

白は日本では最も清浄を象徴する色。神社の御幣や巫女の装束、神事の白装束などは、すべて「穢れなき状態」を意味します。また、ヨーロッパでも白百合や白バラは、純潔・祈り・鎮魂の象徴とされてきました。スノードロップは、前述したようにケルト文化の祭り「インボルク」を象徴する再生と希望の花です。

この季節に咲く白い花の代表はクリスマスローズ・ニゲル。ヨーロッパには、クリスマスローズの白い原種ニゲルにまつわる美しい伝承が残されています。
「キリスト誕生の夜、贈り物を持たない羊飼いの少女が流した涙の跡から、雪の中に白い花が咲き、それを幼子イエスに捧げた」――それが、クリスマスローズのはじまりだと語り継がれてきました。
節分から立春という“切り替えの時期”に、心と空間をそっと浄める花として、これ以上ふさわしい存在はありません。
【Plants Data】
和名:クリスマスローズ(ニゲル)
学名:Helleborus niger
英名:Christmas rose
科名:キンポウゲ科
属名:クリスマスローズ属(ヘレボルス属)
形態:常緑性宿根草
草丈:20〜40cm
開花期:12月〜翌年2月
観賞期:12月〜翌年3月
日照:半日陰
耐寒性:非常に強
耐暑性:やや弱
特徴・ポイント:
雪の中から咲くほどの耐寒性を持つ早咲き種。節分〜立春の象徴花としても最適。
シルバーリーフ|銀色の葉を我が家の守護神に

銀色は月の光を象徴する色。闇の中にさす月の光は人類にとって、安心や鎮静、守りの象徴とされ、日本では月読命(ツクヨミノミコト)という神様が、ヨーロッパではアルテミスという月の女神が守護神として存在します。
アルテミシアというシルバーリーフの名は、この月の女神アルテミスに由来します。森と野生を守り、出産と再生を司る女神の名を持つこの植物は、古くから薬草として用いられ、人の体と心を浄める存在と考えられてきました。
多くのアルテミシアが銀白色の葉を持つのも、強い光や乾燥から身を守るための進化ですが、その姿は夜の月明かりを思わせます。月は東西を問わず、闇をやさしく照らし、乱れを鎮める象徴。アルテミシアは、その静かな光を、庭や鉢の中にそっと宿す植物なのかもしれません。

【Plants Data】
和名:アルテミシア(総称)
※代表種:シロヨモギ、アサギリソウ、ルドビシアナなど
学名:Artemisia spp.
英名:Wormwood, Mugwort
科名:キク科
属名:ヨモギ属
形態:多年草 〜 低木状多年草
草丈:30〜150cm(品種により大きく異なる)
開花期:7〜9月
観賞期:通年(主に葉)
日照:日向〜半日陰
耐寒性:強
耐暑性:強
場所別|2月におすすめの「厄除け植物」の飾り方
① 玄関ポーチ・玄関アプローチ
「外から入る邪気をブロック」する最重要ゾーンです。玄関ドアの横やポーチの隅に、鉢植えを2〜3鉢並べて、厄除けコンテナガーデンを作りましょう。

- 中心:白花のクリスマスローズ
- 背景:ナンテン
- 足元:センリョウ
② ベランダ・バルコニー
ここは暮らしの中で、毎日目に入る「浄化スポット」です。室内からよく眺められる位置に、横一列で鉢を配置してみましょう。洗濯物を干すときにも、窓を開けた瞬間にローズマリーの香りがふわっと広がり、それだけで気分まで切り替わるのを感じられます。香り・白・銀のトリオで、空気感が一気に澄みわたるこんな植栽はどうでしょうか。

- 左:ローズマリー
- 中央:クリスマスローズ
- 右:シルバーリーフ
③ 庭の日陰・半日陰スペース
玄関から見える庭の半日陰に、三角配置で白い花と凛とした常緑樹の緑を配置すれば、何気なく眺めるだけで、気持ちがすっと整います。

- 奥:ヒイラギ
- 中央:クリスマスローズ
- 右:シキミ
④ 室内のリビングや窓辺に

インボルクでは、キャンドルを灯し、光の再生と春の訪れを祝います。窓辺やサイドテーブルに、スノードロップなどの白い花とキャンドルを飾るだけで、冬から春へと移ろう空気感を、室内にやさしく取り入れることができます。夜、ろうそくの灯りに照らされた白い花は、心を静かに整え、新しい季節への気持ちの切り替えをそっと後押ししてくれます。
