◆タイで味わった、圧倒的な「実力差」

岡田将人:タイに対して自分が抱いていたイメージは当初、あまりいいものではありませんでした。「どうせ日本人なんてカモにされるに決まっている」と、騙されないように警戒していたんです。でも、実際に住んでみてイメージが変わりました。私が住んでいたのは貧困層の人たちがいる場所だったのですが、就労ビザがない私は日本で貯めた200万円を切り崩す貧乏生活をしていました。すると、自分たちも決して裕福ではない子どもたちが食べるものを分けてくれたり、タイ語を教えてくれたりして、私が考えているような場所ではなかったと気づいたんです。経済的には貧しくても、心の豊かな人がたくさんいました。
住んでいたアパートの大家さんは、「本当の両親のように思ってね」と言ってくれて、食事を御馳走してくれたり旅行にも連れて行ってくれました。実際に私が日本に帰ったあとも実家に遊びに来てくれるなど、交流が続いています。
――本場のムエタイのレベルはどうでしたか。
岡田将人:1年半くらいの武者修行に出たのですが、自分がまったく通用しないことをまざまざと見せつけられました。腕っぷしに自信がなかったわけでないものの、当時の私はやはり素人に毛が生えた程度でした。
◆わずか3ヶ月の猛勉強で国立大医学部へ
――帰国して、すぐに医師を目指すのでしょうか。岡田将人:帰国してから、父が医師だったので「医師に挑戦したいな」とも思いましたが、地元に帰るとやっぱり遊んでしまうんですよね(笑)。ちょうどタイで知り合った白人の友人の影響で、英語を話せるようになりたいと思ったんです。それがきっかけで、1年弱のあいだ、ニュージーランドにワーキングホリデーに行きました。英語の受験勉強くらいにはなるかなと思っていましたが、ぜんぜん勉強しないで帰ってしまって……。
――すみません、いつ本格的に勉強するんですか(笑)。
岡田将人:結局、22歳くらいですね。ワーキングホリデーから帰国して、そのちょっとあとくらいでしょうか。そこから3ヶ月くらい本気で勉強して、大分大学医学部に滑り込んだ感じです。
――めちゃくちゃすごいじゃないですか。
岡田将人:いや、本当に運が良かったと思います。センター試験もギリギリの点数だったと思うので。ただ、合格したからには真剣に学びたいなと思って学業には打ち込みました。

