実家の“空き家問題”は「売却→信託活用」で決着!親族間のトラブルを回避し“円満相続”を実現した具体例

実家の“空き家問題”は「売却→信託活用」で決着!親族間のトラブルを回避し“円満相続”を実現した具体例

相続発生時、しばしば家族間の意見対立を招くのが、空き家になってしまった「実家」問題。本記事では、LIFE Groupの著書『相続家族会議のすすめ: 安心と信頼の遺産相続は「事前準備」が10割』(時事通信社)から、生前の実家売却と信託活用で、円満な相続が実現した事例を紹介します。

実家を売却して信託財産にするメリット

相続対策の現場では、「実家」という存在がしばしば家族間の意見対立を招きます。特に、親が施設に入居して空き家となった実家をどうするかは、相続発生前後の大きな課題です。この事例は、そうした実家を早期に売却し、得られた資金を信託財産として管理することで、家族全員が納得できる形にしたケースです。

依頼者は高齢の母と、その子ども3人。母は介護施設に入居しており、実家は空き家状態でした。しかし、3人の子のうち1人は「思い出があるから残したい」、もう1人は「維持費や固定資産税が無駄」と主張し、意見が割れていました。さらに、将来的に母が亡くなった際には、遺産分割協議で再び衝突する可能性が高い状況でした。

そこで専門家が提案したのが、生前の実家売却と信託の活用です。まずは資産状況と生活資金を含め、実家を残すことが本当に良いのか話し合っていただき、「実家を売却してお金の管理にすることで良い」という、家族間での合意をしていただきました。

その後、不動産業者を通じて適正価格で買い手を見つけ、売却代金を、母を委託者兼受益者とする「家族信託」に組み入れました。信託の受託者には長男が就任し、信託契約で「受益者の健全な生活を維持するため、公租公課、生活費、医療費および介護費用に充てることができる」「母の死後は残余財産を3人の子に均等分配する」と明文化しました。

実家の相続トラブルを避けるには「元気なうちに決断」

この仕組みにより、売却資金は母の生活を支える安定した資金源となり、かつ将来の分配方法も事前に決まっているため、遺産分割協議の必要がなくなります。また、信託財産は受託者の固有財産と分離されるため、受託者が万一借金やトラブルを抱えても影響を受けません。加えて、施設入居中の母の財産管理を長男が代行できるため、日常的な支払いもスムーズに行えました。

この事例の最大の効果は、感情的な対立を早期に解消できたことです。「実家を残したい」という意見は尊重しつつも、家族間の合意を得て、維持管理の負担や空き家リスクを回避できる現実的な選択肢として信託が機能しました。また、将来の相続時に発生しがちな「評価額の不一致」や「分け方の不公平感」も、信託契約によって事前に封じることができました。

実家の扱いは、家族の歴史や感情が絡み、決断が遅れがちです。しかし、信託を使えば「今の生活の安心」と「将来の公平な分配」を同時に実現できます。空き家問題や家族間の争いを避けるためにも、元気なうちの決断が何より重要だと言えるでしょう。

LIFEGroup

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