医療・福祉分野には「育休の壁」がある?現職者と専門家が話す制度のリアル

医療・福祉分野には「育休の壁」がある?現職者と専門家が話す制度のリアル

育休取得は「経営にマイナスにならない」

男性育休が職場風土の改善に大きく影響したように、育休取得は経営にとってマイナスにならないと山口教授は指摘します。

「デンマークの中小企業4万社を対象とした研究では、育休取得前後の売上・利益を比較したところ、ほとんど変化が見られませんでした。この研究は、従業員30人以下を対象にしているため、日本の医療・福祉事業所の規模感に比較的近いと言えます。

また、2019年に私がおこなった研究でも、育休取得は復職後の定着率を高めるという結果が出ています。同研究では、一度離職した人が再び正社員として再就職する際の心理的・物理的なハードルは、育休から復職する場合より極めて高いという推計結果でした*1。

育休を1年程度取得させることは、経営側にとっては『貴重な人材の流出』という最大の損失を食い止め、従業員にとっては『スムーズな復職』を支える仕組みではないでしょうか」

どちらか一方にならない社会へ

育休制度への理解度や利用しやすさは、職場間でも大きく異なります。働き方が多様化したいま、運用に際しても難しさを感じる事業所も少なくありません。

ライフステージの変化は予想が難しいものです。だからこそ、想定外の変化が起きたとき、ライフとキャリアのどちらも諦めなくてよい柔軟な社会の構築が期待されます。

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参考

*1:Yamaguchi, Shintaro (2019) “Effects of parental leave policies on female career and fertility choices,” Quantitative Economics, 10(3), 1195-1232.

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