いつまでも輝く女性に ranune

万博人気のクウェート館でスタッフにカスハラ、警備員負傷事故も 大混雑で入場列を巡るトラブルたびたび

大阪・関西万博の人気パビリオン「クウェート館」で、入場列を巡って同館スタッフと来場者の間でトラブルが相次いでいたことがJ-CASTニュースの取材で分かった。複数の万博関係者が証言した。

混雑するクウェート館前の様子(9月29日、大阪市此花区)

来場者数が増え始めた8月頃からスタッフが来場者に胸を突かれたり、肩を押されたりなど「暴力」を振るわれるケースが多発しており、警察官が駆け付ける事態も起きているという。8月下旬には、警備員が負傷する事故が2回発生し、各1人が負傷したとの話だ。

来場者から肩を押されたり、胸を突かれたり

クウェートは、産油国で国土の大部分が砂漠だ。パビリオンでは、実際の砂漠の砂を使った宝探しや、砂漠をイメージした部屋で寝そべりながら、映像に没入できるドーム型のシアターもあり、万博のパビリオンの中でも屈指の人気を集める。

そのため、同館では予約も受け入れているものの、予約なしの入場列は2時間待ちといった長い待ち時間となっている。周辺に並べる場所も少ないため、入場列を締め切っていることが多かった。

クウェート館周辺の通路は、幅約30mの通路に中央に植栽、端にはパビリオンの入場列のレーンがあり、一番狭い箇所で通路が幅約5mと周辺と比べて狭くなっているところもある。入場列は、ある程度人数が減った段階で開放するシステムを取っており、「なんとしても入りたい」という来場者が一定数、禁止されているにもかかわらず、入場列の周囲に滞留する事態となっていた。滞留する来場者で通行の妨げになる場面も見られ、万博内でも混雑の激しい場所となっている。

万博関係者の話では、8月下旬、列を開放する際に来場者が入場列に殺到し、警備員が倒される事故が2回発生。警備員計2人が腰を打つなどし、数日間勤務できなくなったという。また、負傷には至らなかったものの、同様の事例は何回か発生しているとの証言だ。

完全予約制などの協議は行われていたというが、事故発生後の9月上旬になっても入場列のシステムが変わらず、列に並べなかった不満を持った来場者とスタッフとの間でトラブルが発生する状態が続いた。多いときには1週間で4回程度警察に通報したという証言もある。

また万博関係者によると、入場列を打ち切るタイミングで、その周辺にいた来場者からスタッフに対し、「金を出しているのになぜ入れない」などのカスタマーハラスメント(カスハラ)行為や、腹を立てた来場者から肩を押されたり、胸を突かれたりするなどされるケースがいずれも複数回あった。また、トラブルや列の最後尾に人が滞留したことで、入場列が1時間ほど規制されたことも複数回あったという。

トラブルについて万博協会に取材すると

万博協会の高科淳副事務総長は9月15日の定例記者会見で、クウェート館周辺の混雑について「非常に混雑をしていて、列を途中で打ち切っても近くで待機しているという状況が続いている」と述べた。

また完全予約制の導入など予約システムの変更は、各パビリオンの判断に委ねられるとしてこう話した。

「パビリオンのスタッフや警備と協議して、どのような形が通路の妨げにならないかを常に意見交換しながら進めている」

その後、J-CASTニュースが万博協会にクウェート館のトラブルについて質問状を送付したところ次のように回答があった。

「会場内トラブルの詳細や個別の事案についての回答は、差し控えさせていただきます」

今回、証言してくれた万博関係者の一人は、対応の遅さを次のように漏らした。

「混雑がひどくなる一方で、スタッフが現場に出るのは正直怖いと思う。事故が起きているのに、(クウェート館に)より多くの人を入れることしか考えてなく、万博協会とクウェート館は現場の声を聞いてしっかり対応してほしかった」

そして、負傷事故から1か月ほど経った9月23日頃からは、トラブルの要因となっていた入場列のオペレーションを変更。入場列をある程度で締め切る方法から、なるべく列をレーンの外であっても伸ばすことを認め、トラブルは解消されてきたという。ただ、29日に現場で確認すると、一転、入場列を締め切るオペレーションに戻り、「ここに並ばないで」と呼び掛けるスタッフの姿が見られた。

配信元: J-CASTニュース

あなたにおすすめ