◆どこからが「研究」で「癒着」なのか。危うすぎる境界線
産学連携が進む中、企業と大学研究者の間で、どこまでの接待が許容され、どこからが違法となるのか。その線引きについて、南澤弁護士は対価性の観点から解説する。「先ほどの『対価性』との関係でいえば、一定の接待や会食が、慣行の範囲内かどうか、金額や反復性がポイントになります。
具体的には、たとえば、研究打合せ後の通常の会食や、儀礼的な懇親会程度であれば、ただちに『対価性』は認めにくいでしょう。キャバクラやスナックなど、いわゆる『夜の店』での接待は、金額が低ければ懇親会の範囲内ともいえますが、程度によっては『アウト』となります。かなりグレーゾーンな印象です」
そのうえで、今回のケースのように、接待が高額であることに加え、『風俗店をおごる』という社会逸脱性が明白な事案に関しては、「『アウト』と評価せざるを得ません」と断言する。
「コンプライアンスを遵守するのであれば、社会的に非難されるような『夜の店』は利用せず、高くとも一万円程度の会食に留めるのが良いと思われます」
◆「東大」の権威失墜――産学連携のあり方を根本から考え直す必要性
最後に、南澤弁護士は今回の事件の社会的影響と今後の課題について言及した。「日本を代表する『東京大学』で起きてしまった事件ということで、社会に与えた衝撃は計り知れません。昨年度にも東京大学の准教授が逮捕されており、相次ぐ不祥事によって、『東大』の権威が失墜したとの印象を世間に与えてしまっています」
今回の事件の背景として、「東大発ベンチャー」など、大学を起点としたビジネスが過熱したことも一因ではないでしょうか。大学の公共性・中立性が軽視された結果、民間企業に流されやすい風土が生じていないか、大学側としての検証・内省が必要であると感じます」
「産学連携」という言葉の下で、何が正当化され、何が見過ごされてきたのか。今回の事件は、ひとりの教授の不祥事にとどまらず、日本の大学と企業の関係性そのものに、厳しい再検証を迫っている。研究の名を借りた接待が、どこまで許されるのかーーその答えは、司法の場で明確に示されることになりそうだ。<取材・文/日刊SPA!取材班>

「パチスロで学費を稼ぎ、弁護士になった男」という異色の経歴を持つ。司法修習時代は、精神医療センターにて、ギャンブルを含む依存症問題について研修を受けた経験があり、一般市民の悩みに寄り添った、庶民派の弁護士を志す。アディーレ法律事務所・北千住支店長として対応した法律相談数は、累計数千件に及び、多様な一般民事分野の処理経験を経て、現在は交通事故部門の責任者となる。

