
同じ商品でも購入する場所やシチュエーションによって、値段が異なるのはよくあることです。たとえば、コーラを購入するのでも、ホテルとマクドナルドでは値段には大きな差があります。物の価値は状況やニーズによって変化するだけに、価値を見極め、賢くお金を使う「買いの判断」を子どもに教えるのは簡単なことではありません。ではそうした相場観を身につけさせるためにはどんなことを意識すべきでしょうか。本連載では、池澤摩耶氏の著書『元外資系投資銀行トレーダーママが伝授 子どもを人生ゲームの勝者にする最強マネー教育』から、物の価値に対する判断力を養う重要性について解説します。
コーラの値段が「ホテル1200円」「マック140円」の理由
ホテルのレストランで出てくるコーラと、マクドナルドで出てくるコーラ。どちらもコカ・コーラ社が販売する炭酸飲料で、味も原料もまったく同じ。
それなのになぜ、ホテルでは8~9倍の値段になるのか? 子どもからそんな質問をされたら、「コーラ以外で、ホテルとマックが違うところは、どんなところだと思う?」と聞いてみてください。
子どもは、自分が手にしているピカピカのグラス、しゃれたコースターにまず、目を向けるでしょう。広々とした空間に、ふかふかの椅子やきれいなテーブルがゆったりと並んでいること。季節の花が飾られて、優雅な音楽が流れ、ホテルのサービスをしっかりトレーニングされたスタッフがにこやかに対応していること。そんなことにも気が付くかもしれません。
つまり、ホテルのコーラの値段には、
「コーラ代」+「高級な空間代」+「ハイレベルなサービス代」=1200円
といったかたちでいろいろな価値が重なり、その対価が上乗せされています。
一方、マックのコーラはというと、“早くて安くて気軽”が売り。自分でレジに並んで、サクッと買える。使い捨てのカップにセルフのストローをさして、外にも持ち出せるというカジュアルなスタイル。つまり、コーラ以外の部分をシンプルにすることで、値段をぐっと抑えられているということがわかります。
家族旅行や誕生日など、ちょっと特別な時間を過ごす日なら、1200円のホテルのコーラを“高い”とは感じないかもしれません。時間を気にせず、リラックスして楽しめるひとときがセットなら、それはむしろ“おトク=割安”という判断になることも。
でも、たとえば急いでいるときや、ちょっと喉を潤したいだけのときはどうでしょう。そのとき、ホテルの豪華さや丁寧な接客は“今”の自分には必要なくて、マックやコンビニで140円のコーラをサッと買えるほうがありがたいと感じるはずです。
「高い=割高」とは限らない。重要となる「価値を見抜く力」
同じ商品でも、置かれた状況や価値の感じ方で、“高い”“安い”の判断は、こんなにも変わります。つまり、必ずしも、「高い=割高」「安い=割安」ではないということ。値段だけでなく「それに見合う価値があるかどうか」が大事であって、その価値もタイミングや状況によって変わる、ということです。
この「割安」「割高」の感覚は、生涯にわたって「お金をどう使うか」を左右する、とても大切なもの。なぜなら、限られたお金を使うとき、値段そのものだけでなく、その値段の中に含まれている「価値」を正しく見抜き、「価値の高い選択」ができるかどうかで、人生の豊かさは大きく変わってくるから。
そして、投資のプロであるトレーダーは、“割安な銘柄を買って、割高な銘柄を売る”のが仕事。何が割安で、何が割高なのかを判断する「価値のある選択」は、そのまま投資に必須な「相場観」になるということ! 将来、意味のあるお金の使い方、意味のある投資をするためにも、この感覚は今から鍛えていきましょう。
池澤 摩耶
会社経営者
投資家
