◆保育サービスにみる諸外国と日本の違い
例えば出産・育児過程で女性に現れやすい「産後うつ」はホルモンバランスの急激な変化に加え、慢性的な睡眠不足や育児ストレス、周囲のサポート不足が原因として挙げられている。また、介護離職も増えている。年老いた家族の面倒を見るために仕事を辞める。同様の理由で〝不登校離職〞も急増中だ。「家族のケア」のために自己犠牲を払わなければならない社会になってしまっている。実際、保育サービスなどの支出を示す日本の家族関係社会支出は、福祉国家と言われる北欧はもちろん、OECD加盟国平均より下回っている。「国が面倒を見てくれないなら家族で見るしかない」となり、精神的に追い込まれたり、離職を余儀なくされたりしているのが現状だ。
ヤングケアラーは間違いなく解決すべき問題だ。しかし、子どもだけでなく、大人だって家族のケアに押し潰されず、自分の人生を選択できる社会であってほしい。

【乙武洋匡】
1976年、東京都生まれ。大学在学中に執筆した『五体不満足』が600万部を超すベストセラーに。卒業後はスポーツライターとして活躍。その後、小学校教諭、東京都教育委員などを歴任。ニュース番組でMCを務めるなど、日本のダイバーシティ分野におけるオピニオンリーダーとして活動している

