
日差しが少しやわらぎ、花の便りが届き始める頃。なのに、なぜか気持ちが落ち着かない、理由もなくそわそわする、疲れが抜けない——そんな感覚を抱く人は少なくありません。それは、気のせいでも、性格の問題でもありません。春は、心と体にとっていちばん揺れやすい季節。季節の変わり目に、人の内側で何が起きているのかを、植物の様子と重ねながら、静かに見ていきましょう。
「春なのに不調」を感じる人は、じつはとても多い
この時期、こんな感覚はありませんか。
- 夜、眠りが浅くなる
- 体は重いのに、頭だけがせわしなくソワソワ
- なんとなく落ち着かない
- 気分が沈んだり、逆に高ぶったりする
もし、こうした自身の変化に気づいているなら、客観的に自分の心と身体を観察できている証拠。ただし多くの人は、こうした感覚に気づかないまま、「勉強や仕事に集中できない」「気づけばSNSに何時間も費やしている」「お菓子を食べまくり」という状況になり、それに対し「自分はだらしない」「意志が弱い」というように自分を責めてしまいがちです。
でもその行動は、理由の分からない落ち着かなさを、無意識にSNSや甘いものといった刺激で、埋め合わせしようとしているのかもしれません。じつは、その「理由の分からない落ち着かなさ」には、ちゃんと理由があるのです。
春の「変化」に気づきつつも、体はまだ「冬」にいるから

立春(2月4日頃)は暦の上での春の始まりですが、現実の環境はまだ冬。日照は12月の冬至を境に、少しずつ長くなってきていますが、春分(3月20日頃)まではまだ夜のほうが長い状況にあります。
冬至〜春分のあいだの「日が伸びてきてはいるけれど、依然として夜が優勢」。このちぐはぐな状態に加え、日中と朝晩の寒暖差や、年の替わりによる環境の変化などが影響し、無意識のうちに、負荷が重なりやすいのです。
人の体は、カレンダー通りに切り替わるわけではありません。寒い冬のあいだ、体は「守るモード」で過ごしてきました。寒さで血流は下がり、活動量も減りがち。その結果、巡り=体内の処理スピードもスローペースになっています。
これは、寒さを越すために必要なモードですが、今はちょうど「モード切り替え」のタイミング。その切り替えには時間差があり、そのズレが、「不安定」「落ち着かない」という感覚として現れます。
ですから、春の不調は「気持ちの問題」でも「あなたの問題」でもなく、「季節性の現象」と捉えるほうが自然かもしれません。
