80歳まで生きて、資産はほとんど減らないまま。数字だけ見れば、完璧な成功者です。それでも彼は、生前こう漏らしていました。
「もしあのとき、あんなに怖がらなければよかった」
その一言が、今も頭から離れません。
◆資産5億円、“誰もが羨む老後”だったはずの男

不動産、株式、預金を合わせると、だいたい5億円ほど。帳簿上は、文句のつけようがない数字です。
ただ、見た目は本当に普通のおじいさんでした。派手な服を着るわけでもなく、車も高級車ではない。来店するときも、いつも同じような服装で、静かに順番を待っている。
この人が5億円持っていると知ったら、きっと誰もが驚くはずです。数字だけを見れば、完全に勝ち組の老後でした。
◆リーマンショックで1億円が半分になった日
リーマンショックのとき、林さんが運用していた資金は約1億円でした。それが、相場の急落で一時5,000万円ほどまで減りました。帳簿上は半分です。ただ、全資産が減ったわけではありません。不動産も預金も残っていて、生活が揺らぐような状況ではなかった。
それでも、その出来事は林さんにとって相当こたえたようです。
来店するたびに、あのときは本当にやられた、もう戻らないかもしれないと、同じ話を何度も繰り返しました。
数字だけ見れば致命傷ではありません。老後の計画が崩れたわけでもない。
それでも林さんの中では、あの日を境に、お金を見る目が大きく変わってしまったのだと思います。

