特別な日に訪れたいのは、晴れやかな気分を満たしてくれる上質な一軒。
春の空気とともに愉悦に浸るに相応しい、編集部員オススメの店を紹介する。
「歳を重ねると友人たちが達観しだして、仙人のような円熟した大人が周りに増えました。が、仕事柄か、わたくしは俗世が大好き。欲望こそが、日々の活力と原動力なのです」
上質というと淡麗な印象があるが、欲望も遂げたい私。25年に二ツ星になった『伯雲』は、美しき香箱ガニでこの時期垂涎の一軒だが、やはり最高だった。
白子のお椀に始まり蟹爪や海老芋の唐墨がけ、〆のカニの土鍋ご飯はカニが体感8割で、もはや米という旨みを足したカニである。
冬といえば伯雲さんの香箱ガニと言えるほどアイコニック
出色は香箱ガニと鰹。香箱ガニのボリュームたるや、都内随一では?と思うほど。
名物「鰹の塩たたき」は不変の美味しさ。コース¥45,000~(サ別)
「鰹の塩たたき」はお見事、のひと言で、いつもこちらを食すと「首の皮一枚」という言葉がよぎるのだが、本当に皮一枚だけがパリッと焼かれていて一流の技に感嘆する。
1月の食材はふぐ。新年に上質なふぐをいただくのはまたとない贅沢だろう。
2025年10月に韓国を訪れて以降、胃がバグを起こしたのかノンストップ食欲。11月は3日に1回はジムにも通うが体重は平行線をたどる。今年はワインのセミナーに通い知見を深めたい。
名物の「パテアンクルート」は3層で味わいが変わる。絶品
3種の肉から取るコンソメの凛とし、静謐極める味わいは、年始にふさわしい一杯であり、これまた美しい「パテアンクルート」の滋味を噛み締めれば、瞬時に私の脂肪が溶解する感覚にさえ陥る。
■店舗概要
店名:L'ARBRE
住所:港区高輪4-22-11 Village高輪 2F
TEL:03-6822-6334
営業時間:18:00~23:00(金土12:00~15:00/18:00~23:00)
定休日:日曜
席数:カウンター8席、個室1(4席)
カウンター鮨は行く機会があるが、同じくカウンターでいただく天ぷらは少し遠い存在。そんな訳で年始めの上質ディナーは気品を漂わせて(?)天ぷらへ。目指せ大人のオンナ。
2年前の自分は何をしていたのか。そんな気持ちになった。理由は『天ぷら北川』で、2年熟成された「メークイン」を食べたから。
今夜一の感動をくれた「メークイン」
ふた冬を越え、ようやくお目見えされたじゃがいも。この時点で既に愛おしい!
糖度12.5度のそれ(一般的なじゃがいもは5度前後)に、太白9、太香1の割合でブレンドしたごま油で2時間じっくり火入れをする。するとより甘みが増し、一瞬、和の甘味を食べているかのような錯覚に陥った。
「車エビ」とビール、最高。すべておまかせコース(¥23,000)より
さらに駿河湾の桜エビを食べて育った活締めのあじや白甘鯛など、静岡のカリスマ鮮魚店「サスエ前田魚店」から仕入れる魚が天ぷらの衣を纏い、唯一無二の味わいに。ちなみに熟成野菜にも旬があり、1月はにんじんやごぼうも登場するとか。
時空を超えたねっとりとした冬の甘さの感動は、年始にこそ堪能するのが贅沢だ。
1年間で携帯のカメラロールに撮りたまった外食の写真を見返すことが、年末の楽しみのひとつ。「来年も美味しいもの食べるために頑張るぞ!」と自分に活を入れるのが恒例。
2025年は帰省と仕事以外で関東を出ていないことに気付く。
「異文化に触れないと、なんだか廃れた人間になってしまいそう!」と焦燥感に駆られ、タイを感じるべく『タイ料理 みもっと』へ伺った。
先輩から行って感動したと聞いていたので、期待値が上がった状態で入店。テーブルに置かれたメニューを手に取ると、先付けから〆まで合計10品も出てくるという嬉しい情報をキャッチする。
月ごとに変わるコースで、この日は日本の懐石料理がテーマ。
先付け「ブリ」。
「セコガニと湯葉の焼売」。
「トムカーガイ」。料理はすべておまかせコース(¥16,500)より
中でも印象に残った料理は、スペシャリテの「トムカーガイ」。
とにかくこのココナッツクリームのスープが絶品だ。本場のタイ料理っぽさもあるのに、まろやかで日本料理らしい繊細さが感じられる。
上質なタイ料理を食べて、美食旅をした気分に。新しい年をここから始めたいと思う高揚感が残った。
▶このほか:最後の一滴まで味わい尽くしても罪悪感なし。和牛やすっぽんなど、東京の上質鍋5軒


