「一日1000件の殺害予告が…」スマホなき時代のデマ拡散。“殺人犯”にされたスマイリーキクチが今なお警鐘を鳴らし続けるワケ

「一日1000件の殺害予告が…」スマホなき時代のデマ拡散。“殺人犯”にされたスマイリーキクチが今なお警鐘を鳴らし続けるワケ

◆人を信じる気持ちだけは失わないように

スマイリーキクチ
たくさんの人に苦しめられたが、たくさんの人に助けられた
――芸人として大成功をつかむ道なかば事実無根の誹謗中傷を受け、笑いの一線からは退くことになってしまったスマイリーさんですが、お祖母様のお言葉通り、笑っていればいいことがありましたか。

スマイリーキクチ:私は人を信じる気持ちだけは失わないようにしようと思ってこれまで生きてきました。警察が事件を捜査してくれるまでに9年近くがかかりましたが、ぞんざいに扱う警察官がいても、理解してくれる警察官はどこかにいると。必ず出会えると信じてきました。そして周囲の人たちの支えがあったから、笑顔でいられたのだと思います。誹謗中傷をする人は、私がどん底になるのを見たかったのだと思います。けれども、私は当時ブログでも、毎日楽しみを見つけて、ポジティブなことを書きました。そうすることで、自分の心も晴れていくし、応援してくれた人も心配せずに陽気になってもらえたかもしれません。

 確かに私は誹謗中傷でたくさんの人に苦しめられましたが、それ以上に、たくさんの人に支えられ、助けてもらいました。そう言い切れます。

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 自らの努力不足でも怠惰でもなく、ある日、顔も知らぬ者の書き込みによって、一瞬にして掴みかけた夢を喪う。デマとその拡散は、まさに言葉の通り魔。被害者となり、奈落で恨み言を吐き続けてなんら不思議のない状況でなお、スマイリーさんは笑う。

 思い描いた未来予想図から逸れたあとも、人生は続いていく。残りの人生を消化試合にせず、より高みに自分を導いてくれるもの――それは怒りや慟哭ではない。人を信じる心と、感謝の気持ち。それを教えてくれた祖母のぬくもりを胸に、スマイリーさんはきっとこれからも人間と真正面から向き合っていく。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
配信元: 日刊SPA!

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