世界における不確実性
2025年現在、貴金属の視点で見ると戦争リスクは一通り価格に反映されています。また金利リスクに関しても、2025年9月以降のFOMC(米連邦公開市場委員会)において利下げは確実視され、関心はどれだけ利下げをするかの下げ幅に移行しています。投資家が予想できる状態(=織り込み済み)になると、一般的に金など貴金属は重要視されず、ほかの資産に移行すると目されています。
では世の中において今、何が「不確実性」なのでしょうか。
まずはトランプ氏の関税施策です。大きく「かまして」個別に妥協するところからTACO(Trump Always Chickens Out)取引とも揶揄されますが、国際社会は大きな影響を受けています。特にこれからは関税施策に応じない姿勢を見せているインドなどとアメリカとの関係です。とはいえアメリカも絶対王政では無く、2026年秋の中間選挙に向けトランプ氏(=共和党)も選挙に勝てる体制の構築が求められます。関税を巡る駆け引きがどのように変わっていくかは、金の価格にも大きな影響をもたらすでしょう。中間選挙に向け、トランプ氏が更に過激な国内政策を打ち出す可能性は否定できません。
もうひとつは、反欧米の勢力結集です。先頃中国は、日本との戦争終結80年記念式典において、中国・ロシア・北朝鮮の首脳が北京に集まり、関心を集めました。連携を示す仮想敵国は日本だけではなく、欧米各国と見られています。ワシントン・ポスト紙によると、特に中国は数年先における台湾進攻を示唆しており、実行段階では金も大きく反応することは間違いありません。
包括的に世界を覆う不安感と、個別に織り込まれていないリスクを分析して、資産運用としての金の扱いを決めていくことが、個人投資家の皆様に求められています。
※資産運用や投資に関する見解は、執筆者の個人的見解です。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします
