冬の食事で意識したいこと4選
将来の認知症リスクを遠ざけるには、食事の工夫も大切です。
脳の健康をサポートするタンパク質や発酵食品などを日常的に摂取するのに加え、冬はプラスαの工夫を取り入れていきましょう。
今野さんに、脳の健康を保つ「冬の食事の工夫」について教えてもらいました。
1.冬の“濃い味”に注意して、塩分は控えめに
冬の食卓は、鍋料理や汁物など塩分の多い料理が増えがちです。さらに、空気の乾燥によって口の中が乾き、唾液量が減ることで味覚が鈍くなり、無意識に濃い味を求めてしまう傾向も。これが塩分過多の原因となり、冬の高血圧リスクにつながります。
- 鍋料理の汁は飲み干さない。
- 調味料を減らして出汁のうま味やスパイスで満足感をアップさせる。
といった工夫で、塩分摂取量を控えめにしていきましょう。
「また、冬は水分摂取量が減りやすく、体内に塩分が留まりやすい時期でもあります。こまめな水分補給を心掛け、適度に体内の水分を排出するようにしましょう」(今野さん)
2.魚を週に2~3回食べる
青魚やアマニ油、えごま油などに含まれるオメガ3脂肪酸は、体内の炎症を抑え、認知機能の低下予防に役立ちます。
そんなオメガ3脂肪酸を含む食材の中でもおすすめなのが、冬が旬の青魚です。冷たい海水の中で育った青魚は脂がのっていて、EPA・DHAも増えると言われています。
- 冬が旬の青魚……ぶり、さば、いわしなど。
「認知症予防の研究でも、魚を定期的に摂取する習慣は、脳の体積維持や認知機能の低下抑制に関与することが多くの研究で示唆されています」(今野さん)
旬の魚をおいしくいただきながら、脳に元気をチャージしましょう。
3.冬野菜を積極的に食べる
冬野菜は、自らが凍らないように水分を減らすので味わい深くなり、認知症予防に良いと言われるビタミンA・C・Eなど、抗酸化ビタミンも濃くなります。
- おすすめの冬野菜……大根、かぶ、にんじん、春菊、白菜、ほうれん草、チンゲン菜、小松菜、ねぎ、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなど。
味噌汁やスープなどでじっくり火を入れてうま味を引き出せば、薄味でもおいしく食べられ、減塩にもつながります。体を温める作用のある生姜や唐辛子と組み合わせるのもおすすめです。
4.知的健康の維持に役立つとされる栄養成分
脳の健康につながる成分として、以前からイチョウ葉エキス、DHA、クルクミン、レスベラトロール、カテキン、フェルラ酸、プラズマローゲンなどが知られています。ミツバチ産品のプロポリスもその一つ。
プロポリスは抗酸化作用、血圧改善作用、血栓予防作用などが報告されていて、認知機能の低下につながるさまざまなリスク要因の改善に役立つ可能性があります。
実際に高齢者を対象とした試験では、プロポリスの飲用を続けることで認知機能(言語記憶力)が改善されたという報告もあります。
「世界をリードする認知症の専門家からなるランセット委員会は、生活習慣に関連する14項目のリスク要因(※1)を生涯を通じて改善することで、認知症のリスクを最大で45%減らすことができると報告しています」(今野さん)
体を温めて血流をよくすること、室内でも体を軽く動かすこと、旬のうま味を楽しむこと――。こうした小さな積み重ねが、脳にとって大きな支えとなります。
季節に合った対策を意識しながら、脳の健康を守っていきましょう。
※1 <14項目の認知症リスク要因>
教育機会の不足(18歳まで)・難聴・高LDLコレステロール・うつ病・外傷性脳損傷・身体活動不足・糖尿病・喫煙・高血圧・肥満・アルコールの過剰摂取(18~65歳)・社会的孤立・大気汚染・視力障がい(65歳以上)
■取材協力:山田養蜂場 健康科学研究所
■監修者プロフィール:今野裕之(こんの・ひろゆき)さん

医療法人社団TLC医療会ブレインケアクリニック名誉院長、一般社団法人日本ブレインケア・認知症予防研究所所長、医学博士。順天堂大学大学院卒。老化予防・認知症予防を専門とする。日本大学附属板橋病院・薫風会山田病院などを経て2016年にブレインケアクリニックを開院。各種精神疾患や認知症の予防・治療に栄養療法やリコード法を取り入れ、患者一人ひとりに合わせた診療にあたる。著書に『最新栄養学でわかった!ボケない人の最強の食事術』(青春出版社刊)などがある。

