斎藤工が「僕は明らかに老害予備軍」と語る理由。「僕ら世代が駆逐されないと健全にならない」44歳の危機感

斎藤工が「僕は明らかに老害予備軍」と語る理由。「僕ら世代が駆逐されないと健全にならない」44歳の危機感

◆僕は明らかに老害予備軍。“発酵”していきたいと思います

エッジな人々
──斎藤さんは今後、どのような人生のフェーズに入っていきたいですか?

斎藤:僕は明らかに老害予備軍なので、その自覚を持って、腐敗ではなく“発酵”していきたいと思っています。

──その自覚はどこから?

斎藤:ええ。悲しいかな、人間って年齢やキャリアを重ねるごとに注意してくれる人が減るんですよね。そうすると、気づかないうちに、どんどんどんどん腐敗という名の老害になってしまう。だから僕は、周りにいる人たちの小さな変化を見逃さないよう、常に自分自身に対してアラートを鳴らしています。


◆老害予備軍として日々、戦々恐々

斎藤工
──注意してくれる人が減っている実感がある?

斎藤:めちゃくちゃ感じます。周りを見ていて、発酵にしろ、輝いている発光にしろ、“はっこう”し続けている先輩方は、皆さん自分に厳しい。何かを成したとか、達成したとか1ミリも思っていない。いつも巨大な山を登り続けていて、どこかに鎮座したり、あぐらをかいたりしていない。そういう先輩たちの背中をずっと追っていたい。若かりし頃、本当にお世話になった諸先輩もたくさんいるんですけど、正直、反面教師でしかなかった人もいます(苦笑)。だから、気を抜かないように「自分もアイツらになってないか?」「老害になるぞ!」と、日々アラートを鳴らしているんです。

──自らアラートを。

斎藤:あと最近、国会中継をよく見るようになりまして。いろんな政治家の方がいらっしゃいますが、僕はその人が政治家を志した当初の自分が、今の姿を見たらどう思うのかを勝手に想像しているんです。そんな見方で、それぞれの方を“シリーズ化”して眺めています(笑)。

──面白い見方ですね(笑)。

斎藤:人によって相当ドラマチックだったりするので。「あのときのお前はどう思うかな」って。「こんなはずじゃなかった」っていうのって、なかなか気づかないんですけどね。見ながら、はたから優雅に眺めてる場合じゃないぞ、と思うわけです。つまり、和田先生も柚乃さんもヒントをくれましたが「自分のために」ということには限界があるんです。そして「誰かのため」になった瞬間、可能性や出力は何倍にもなっていく。自分のためっていう限界は、意外と遠くにない。なので、忘れずに日々、アラートを(笑)。

【Takumi Saitoh】
俳優・フィルムメイカー。主な出演作に映画『昼顔』、『シン・ウルトラマン』、Netflixではドラマ「ヒヤマケンタロウの妊娠」ドラマ「極悪女王」映画『新幹線大爆破』に出演している。映像制作にも積極的に携わり、初⻑編監督作『blank13』では 国内外の映画祭で 8 冠を獲得。児童養護施設のドキュメンタリー『大きな家』 では企画・プロデュースを務め、昨年の日本批評家大賞ドキュメンタリー賞を受賞した。また、被災地や途上国での移動映画館 cinéma bird 主宰、Mini Theater Park、撮影現場での食の改善や託児所プロジェクト、白黒写真家など、活動は多岐にわたる

斎藤工
(※1)『This is I』
アイドルを目指すアイ(望月春希)と、アイと出会い、当時タブーとされていた性別適合手術の扉をともに開いていった医師(斎藤)の実話を基にしたヒューマンドラマ。1980~’00年代の名曲たちが映画を彩る

エッジな人々
(※2)はるな愛
1972年、大阪府出身。’08年にエアあややの口パクモノマネで一世を風靡した。’09年、「ミス・インターナショナル・クイーン 2009」で日本人として初めて優勝に輝く

(※3)原作
和田耕治医師と深町公美子さん共著の『ペニスカッター:性同一性障害を救った医師の物語』(方丈社)と、はるな愛さんの『素晴らしき、この人生』(講談社)を参考にしている

(※4)業界の環境改革
「持続可能な映画制作」という信念のもと、託児所の設置、食環境の改善、フリーランスのスタッフに対する公正な労働環境の提供などを推進している

(※5)『ヒヤマケンタロウの妊娠』
「もし男性が妊娠したら?」をテーマにした同名コミックスを実写化したドラマ。現代社会の問題をコミカルながらも浮き彫りにし、高い注目を集めた

(※6)永尾柚乃
現在9歳で1歳半より活動している子役。バカリズムが脚本を手がけて高い評価を受けたテレビドラマ『ブラッシュアップライフ』の出演で一躍人気に。斎藤主催の「cinéma bird in 石川県奥能登」にも参加

取材・文/望月ふみ 撮影/鈴木大喜 撮影協力/バックグラウンズファクトリー

―[インタビュー連載『エッジな人々』]―

【望月ふみ】
ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画周辺のインタビュー取材を軸に、テレビドラマや芝居など、エンタメ系の記事を雑誌やWEBに執筆している。親類縁者で唯一の映画好きとして育った突然変異。X(旧Twitter):@mochi_fumi
配信元: 日刊SPA!

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