◆「数ヶ月で辞めた」アイドル時代に学んだこと
――お互い過度な期待を持たないのは、人間関係の真髄かもしれないですね。コンサル時代のセクハラもさることながら、アイドル時代も大変そうですよね。水谷咲:本当に。アイドルは数ヶ月で辞めたんですが、その理由として、自分でお客を選べないことがありました。たとえば執着してくる男性ファンをブロックしたら、事務所に怒られたり(笑)。ただ、これまで苦手意識のあった男性をどうマネタイズするかという視点を学べたのは、よかったと思います。
――ちなみに公認会計士試験を受けると宣言しましたが、理由を教えてください。
水谷咲:フリーランスのモデルとしての活動はやりがいがありますが、一方で心細さもあります。自分の活動にもう一本軸を持とうと思ったとき、大学時代に取得した簿記2級の勉強が楽しかったことから会計に興味を持ちました。公認会計士資格が取れたらモデルとしての仕事の幅も広がるかもしれないし、食べていくのにもマイナスにはならないはずですから。
◆お金は自力で生み出したい
――生活のためなら、お金持ちと結婚する手段もありそうですが。水谷咲:コンサル時代、稼ぐ子持ちの既婚者たちが「昨日キャバ嬢とヤッた」みたいな話で盛り上がるのを散々見ているので、結婚しても安定ではないと思っています。お金は自力で生み出します(笑)。
――公認会計士受験について、ネットはどんな反応でしたか。
水谷咲:モデルをやりながら公認会計士を受けるなんて、通用するわけないという厳しい意見が多かったですね。それから、「この人は今まで何一つ成し遂げていない」とか(笑)。アンチもまたお客さんなので、結構いろいろ見るようにしているんですよ。いつかファンもアンチも驚くような報告ができたらいいなと思っています。
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水谷さんには透明感がある。見た目の美しさだけの話ではない。あけすけに手の内を晒してもなお、湧き水のように枯れない魅力を備えているからだ。
過去に遭った出来事による心の傷は浅くない。そのせいで、確かに水谷さんは男性に失望している。でもその失望はからっと乾いていて、毒々しさがない。「これだから男性は」といたずらに主語を大きくしない聡明さもいい。彼女のしなやかで大胆な人生の舵取りに、期待感を抱かざるを得ない。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

