小松菜10円、大根99円…物価高なのに“異様に安い青果店”が成立する意外なワケ。B級品を買い叩くことはしない

小松菜10円、大根99円…物価高なのに“異様に安い青果店”が成立する意外なワケ。B級品を買い叩くことはしない

◆同胞とチームを組みまとめて仕入れる

物価高なのに[異様に安い店]を直撃![激安]の裏側
この日来ていたネパール人仲間は8人。多くが日本に来てから知り合った人たちで構成されたグループだという
激安野菜の仕入れの実態を確かめるべく、記者は前出のやすマート店主、サンジェイ氏の仕入れに同行。大久保の「淀橋市場」へと向かった。早朝6時半、記者が彼らに合流すると、すでに大量の野菜がパレットに積み上げられていた。本来、競りに参加するためには「買参番号」が必須だが、組合加入のために保証人が2人必要な点など、外国人にとってはハードルが高い。

そのためサンジェイ氏のような小規模事業者は、番号を持つ同胞を中心としてチームを組み、まとめて買ってもらうことで大きなロットでの仕入れ価格が適用される。当然“まとめ買いディスカウント”は市場にも存在するため、結果的に規模の大きなライバルと同じ仕入れ値を実現できる。そして、たとえば大手スーパーが200円ほどで売るほうれん草を129円とギリギリまで利益を削ることで価格競争力を高めているのだ。

この日、集まっていたのは8人のネパール人たち。それぞれ日吉、新丸子、菊名など出店エリアや店の規模感もさまざまな“連合軍”だ。チームを束ねるリーダーの男性は、来日20年のベテラン。横浜の青果店で荷下ろしやパッキングの下積みを経て独立し、現在は5店舗にまで出店数を増やした。サンジェイ氏は先にこのチームに所属していた幹部ポジションのいとこの紹介で一員になったという。

◆「損して得取れ」を実現

驚いたのは、彼らがB級品などを買い叩いているのではないこと。小松菜の競りで値切りもしない様子を不思議に思い尋ねると、リーダーからは「市場は信用が第一。安く買いたいからと、無理な値切りをしたら、次からいい商品を売ってもらえない。そこは“付き合い”だよ」との返事。

「損して得取れ」とはよく言ったもので、こうした信用の積み重ねがときにいい商品の激安仕入れを実現し、前述の“10円小松菜”のように呼び水としての還元につながるのだ。

市場から店に戻ったのが朝9時。ここからサンジェイ氏はスタッフと交代しながら、21時まで店に立ち続ける。その勤勉な働きぶりに感銘を受けた常連客の中には、チラシに添える文言の作成を手伝ったり、店で購入した里芋で煮つけを作って差し入れをしたりする人もいるという。

「ここは地域の“サロン”なの。スーパーのレジじゃ、こんな会話しないでしょ?」と、取材中、常連客のひとりが熱っぽく記者に訴えてきた。激安野菜は物価高にあえぐ庶民の食卓と、地域の絆を意外な形で支えているのだ。

物価高なのに[異様に安い店]を直撃![激安]の裏側
【消費経済アナリスト 渡辺広明氏】
コンビニ店長、バイヤー、ポーラ、TBCのマーケターなどを経て独立。コメンテータや商品開発コンサルとして精力的に活動中
物価高なのに[異様に安い店]を直撃![激安]の裏側
消費経済アナリストの渡辺広明氏
※週刊SPA!2月10日号より

取材・文/週刊SPA!編集部

―[物価高なのに[異様に安い店]を直撃![激安]の裏側]―

配信元: 日刊SPA!

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