◆車内に漂う異様な緊張感
やがて言い争いに発展。口調は激しくなり、汚い言葉が飛び交っている。
「私はイヤホンをしていたので詳しくは聞き取れませんでしたけど、かなりひどい言葉だったと思います。ほかの乗客も注目していて、みんな迷惑そうな表情でした」
隣に立っていた女性は耐えきれず、わざわざ場所を移動していったのだとか。
「その気持ちがすごくわかりましたね。仕事帰りで疲れているときに、目の前で大人が押し合いしていたら居心地悪いですし……」
そして、押し合いはさらにエスカレートし、殴り合い寸前の雰囲気になった。
「車内全体が緊張感に包まれていました。幸い、私は次の駅で降りましたけど、後味は最悪でした。『よい大人があんな幼稚な行動をするのか』って、本当にうんざりしました」
電車では個人のマナーが大いに問われる。だが、不快に感じても声をあげにくい空気があるのは事実だ。自分の何気ない行動が周囲の迷惑になっていないか、あらためて意識する必要があるだろう。
<取材・文/chimi86>
【chimi86】
2016年よりライター活動を開始。出版社にて書籍コーディネーターなども経験。趣味は読書、ミュージカル、舞台鑑賞、スポーツ観戦、カフェ。

