◆「一番おすすめ」のオプションは?

「40代で一度は受けるべき推奨オプションとして、まずは最も優先度が高いものとして、大腸内視鏡(大腸カメラ)を強く推奨します!」
その具体的な理由を石岡院長に尋ねた。まず、大腸内視鏡(大腸カメラ)は大腸がんに警戒するためのものだ。大腸がんは日本人のがん罹患数で第1位、死亡数では第2位(女性では第1位)。また、他のがんと比べても比較的若い年代からの発症が多いのが特徴である。
「一方で、大腸がんは『最も予防しやすいがん』でもあります。40代からできやすくなる『前がん病変(ポリープ)』を、大腸内視鏡で発見と同時にその場で切除してしまえば(※施設による)、将来のがん化リスク自体を限りなくゼロに近づけられます。『がんの芽』を摘み取って、将来のがんを未然に防げる唯一の検査が大腸内視鏡なのです」
この大腸内視鏡は、上記3検査の中でも最も優先度が高いという。多くの人は、会社健診の「便潜血検査(検便)」を受けていれば安心と思いがちだが、ここには大きな落とし穴がある。便潜血検査と大腸内視鏡の2つは、役割が全く違うのだ。
「検便には『早期発見』において苦手な部分があります。まず、便潜血検査が陽性になる確率(感度)は以下の通りです」
(1)進行がん(手術が必要):約80%以上が反応
(2)早期がん(内視鏡で治せる):約50%(2回に1回)しか反応しない
(3)10mm以下のポリープ(がんの芽):約10%しか反応しない(9割は見逃す)
「つまり、検便は(1)進行がんを見つけるのには優秀ですが、(2)早期がんや(3)ポリープの段階では、1回の検査だけではすり抜けてしまう可能性が高いのです。だからこそ、リスクが上がり始める40代で精度の高い大腸カメラを受け、見逃されているポリープや早期がんがないか徹底チェックしてください」
石岡院長は誤解を招かないようにと、「便潜血検査も、それ自体は非常に有益な検査」と説明している。ただし、これは毎年繰り返し受けることで精度が担保されるもの。1回だけの検査で見逃しても、毎年の受診でがん死亡率を下げる効果は実証されている。40歳を過ぎたら大腸内視鏡で「異常なし」を確認し、その後数年は毎年の便潜血検査でチェック継続……というのが最強の組み合わせだという。
◆「腹部超音波(エコー)」「胸部CT」も受けておきたい
大腸内視鏡検査以外で、優先順位の高い人間ドックのオプションについて、まず石岡院長は腹部超音波(エコー)を挙げた。これは「沈黙の臓器」と呼ばれる肝臓をはじめ、膵臓・腎臓・胆のうを痛みも被曝もなくチェックできる。これら臓器の異常は、初期段階では症状がないばかりか通常の血液検査だけでは数値に出ないことも多く、画像検査で見ないと気づけない。「ただし、超音波は脂肪で減衰してしまうため、肥満体型の方や内臓脂肪が多い方は、画像が不鮮明となり、検査精度が落ちてしまいます。その場合は、医師と相談してCT検査などを検討してください」
次に重要なのは胸部CTである。通常のレントゲン(X線)は「影絵」なので、心臓や太い骨の裏に隠れた小さながんが見えない。対してCTは体を輪切りにして見るため死角がなく、画像も鮮明で診断精度が非常に高い。最近は被曝量の少ない「低線量CT」を用いている施設も増えているので、X線の影響が心配な場合は導入しているか確認すると良い。
「特に過去の喫煙歴がある方、現在喫煙中の方、受動喫煙の環境にある方は、40歳という節目で肺の精密な『ベースライン(基準)』を確認すべきです。また、施設選びでここが重要なのですが……胸部画像は読影能力(画像を見て診断する力)が、専門医と非専門医で大きな開きがあることがわかっています。受診する際は、日本医学放射線学会や日本呼吸器学会など認定資格を持った医師が、診断に携わっているか必ずチェックしてください」
また、胸部CTについては胸部レントゲン(X線)の情報をすべて含む完全上位互換なので、オプションで胸部CTを受ける場合、基本コースのレントゲンと両方受けるメリットはない。可能であればレントゲンの方を省略することを推奨する。

