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年末年始やお盆休み、そのタイミングに帰省して結婚報告しようと考えている人もいるかもしれない。今回話を聞かせてくれた福田逸喜さん(仮名・36歳)も、結婚報告のため実家に彼女を連れて帰省したひとりだ。
福田さんの両親は、どちらもおおらかな性格で放任主義。彼女F香さん(23歳)を自身の実家へ連れて行くのは初めてだったが、結婚したい相手がいるということは事前に伝えていたし、とくに不安要素はなかったとか。




◆実家に彼女を紹介しに帰省
「僕の実家へ行くときにはすでに、不安要素たっぷりだった彼女の両親への挨拶を済ませていました。反対されることを覚悟していた彼女の両親から結婚を快諾してもらえたことで気が緩んでいましたし、幸せな未来しかみえない。このときは、そういう状況でした」ところが福田さんの実家へ到着するなり、幸せな雰囲気は一変する。玄関まで迎えに出てきた父親が、彼女の顔を見て固まったからだ。彼女の顔も引きつっている。「どうかした? さぁさぁ、上がって」と声をかけ、お客様用のスリッパをF香さんにすすめる母。
「F香の様子に、ただ事ではないと思いました。そこで、小声で『どうかした?』と声をかけてみましたが、『ん? 何もないよ』との返事しかありません。でも表情は強張ったままだし、正直、この時点ですでに不穏な空気が半端なかったです」
◆お通夜状態の時間が過ぎる

「実家へ到着するまでは、あれほど『緊張する!』などと言いながらもはしゃいでいたF香が、すっかり黙り込んでいます。さらに『どんな彼女か楽しみだ!』と大騒ぎしていた父親は無言のまま真剣な表情で、しきりに口元あたりを撫でまわしていました」
続く無言状態を断ち切ったのは、キッチンにいた母。温まったお吸い物や煮物をお盆に乗せ、「あら、どうしたの? まるで、お通夜ね」と戻ってきてからは、何とか会話がスタートした。ただ、話を切り出すのはすべて母で、父とF香さんは、くぐもった声で返答するのみ。
「まったく盛り上がらない気まずい状態が続いていたとき、『すみません、お手洗いをお借りしてもいいですか?』と、F香が立ち上がりました。すると間髪入れずに『案内するよ』と父が立ち上がったのです」

