“理想そのもの”だったのに…定年後「東京」から「福岡」に移住した退職金2,500万円の60代元公務員、わずか3年で“Uターン”したワケ【地方移住失敗記】

“理想そのもの”だったのに…定年後「東京」から「福岡」に移住した退職金2,500万円の60代元公務員、わずか3年で“Uターン”したワケ【地方移住失敗記】

地方移住の理想と現実

認定NPO法人ふるさと回帰支援センターによると、2024年の移住相談件数は61,720件と、4年続けて過去最高となるなど、地方移住への関心は年々高まっているようです。しかし実際には、理想とのズレが生じることも少なくありません。

そのギャップを埋めるためには、最低でも下記の点を確認・認識しておく必要があります。

1.人との距離感

都市部では不必要に干渉しないことが心地よくても、地方では地域行事や共同作業が生活の一部になっている場所も多く、参加しないと孤立してしまうケースもあるようです。

2.利便性

地方都市では車移動が前提となる地域も多く、高齢になるほど行動範囲が狭まります。元気なうちは問題なくても「10年後、20年後も同じ生活が続けられるか」という視点が欠かせません。

3.資金計画

退職金などのまとまったお金が手に入り貯蓄が十分にあるように思えても、住宅購入や旅行、交際費、日々の生活費が重なると、資産は想像以上のスピードで減っていきます。特に不動産は、売りたいときにすぐ売れるとは限らず、「出口戦略」を考えない移住は大きなリスクです。

地方移住そのものが悪いわけではありませんが、「準備不足」のまま踏み出してしまうと、後悔してしまう可能性が高くなります。

地方移住で後悔しないためのポイント

地方移住で後悔しないためのポイントは「暮らし」と「お金」をセットで考えることです。

今回紹介したシゲルさんの場合、まずは賃貸で暮らすという選択肢もありました。地域の雰囲気や生活リズム、人との距離感を実際に体験しながら、「ここで老後を過ごせるか」を冷静に判断しましょう。

次に大切なのが、資金計画の“見える化”です。年金収入を把握したうえで、退職金や貯蓄を「いま使えるお金」「老後後半のためのお金」「病気や介護に備えるお金」といった目的別に分け、年間どれだけ使えるのかを明確にしておきます。

さらに、性格的な向き・不向きの自己分析も重要です。地域に溶け込む努力ができるか、そうでない場合孤独を楽しめるかなど、移住後の「日常生活」を想像しておくことが大切です。

移住は単に住環境が変わるだけでなく、生き方そのものが大きく変化します。

後悔を口にするシゲルさんですが、たとえ3年間でも「やりたいことを実現できた」という達成感は否定してほしくありません。その経験は、これから定年を迎える世代にとって大切なメッセージにもなるでしょう。

そのうえで伝えたいのは、夢を実現させるには「熱意」や「行動力」だけでなく、冷静なシミュレーションと覚悟が必要だということです。

大竹 麻佐子
ゆめプランニング 代表
ファイナンシャルプランナー(CFP)/相続診断士

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