
「仕事は最先端なのに、福利厚生は時代遅れ」そう求職者に判断されてしまったら、優秀な人材の採用は難しいでしょう。近年、面接の場で「企業型確定拠出年金(企業型DC)」の有無を問われるケースが急増しています。大企業出身者や金融リテラシーの高い層にとって、会社が掛金や手数料を負担してくれる企業型DCは、もはや「あって当たり前」の制度になりつつあるからです。本記事では、岩崎陽介氏の著書『頭のいい会社はなぜ、企業型確定拠出年金をはじめているのか』(青春出版社)より、企業型確定拠出年金の実際の導入事例とともにそのメリットについて解説します。
iDeCoより「企業型DC」のほうがお得な4つの理由
「iDeCoと企業型確定拠出年金、どちらを活用するほうがいいの?」そんな質問もよくいただきますが、私は迷わず「企業型確定拠出年金ですよ!」とお答えしています。その理由は次の4点です。
1.積み立てできる「金額」が多い
2.「社会保険料軽減」の可能性がある
3.できる「期間」が5年長い
4.「口座管理料」が原則、法人負担
それぞれ見ていきましょう。
1.積み立てできる「金額」が多い
iDeCoは厚生年金の被保険者が毎月拠出できる上限は2万3000円です。それに対して、企業型確定拠出年金は、5万5000円です。
つまり、毎月3万2000円、年間38万4000円も多く拠出することができます。できる金額が多くなれば、その分、取れる税制優遇メリットは大きくなりますし、多くの額を運用にも回せるようになります。資産運用効果が高まり、非課税メリットも大きくなる可能性大です。
iDeCoの2万3000円の枠では物足りなさを感じる人は、断然、企業型確定拠出年金のほうがいいと感じていただけるでしょう。
2.「社会保険料軽減」の可能性がある
iDeCoは、報酬や給与から税金や社会保険料が差し引かれて、手元に残ったお金から拠出します。そして、年末調整で掛金全額が控除対象となり、所得税と住民税がお得になるという仕組みです。
一方で、企業型確定拠出年金は、法人が報酬や給料として支払う前段階で確定拠出年金の掛金を引いた分を個人の確定拠出年金口座に振り込んでくれます。そして、残った報酬や給料に対して税金や社会保険料が課せられる、という仕組みです。
そのため、掛け金によっては社会保険料の等級が下がり、社会保険料が軽減できるのです。
3.できる「期間」が5年間長い
iDeCoは、2022年3月現在、60歳まで拠出可能ですが、企業型確定拠出年金の加入期間は、その会社が定めれば、最大65歳まで拠出可能にもなります。2022年5月の法改正で、iDeCoは65歳まで、企業型確定拠出年金は70歳まで拠出可能になります。
いずれの場合においても、iDeCoよりも企業型確定拠出年金のほうが5年間拠出可能期間が長いのです。
4.「口座管理料」が原則、法人負担
確定拠出年金の「口座管理料」は、iDeCoでは加入者個人が負担します。年間数千円程度とはいえ、積み重なるとそれなりの金額になってきます。
一方、企業型確定拠出年金では、その口座管理料を原則法人が全て負担します。加入者の従業員に当然喜ばれますから、福利厚生を充実させたい経営者にとっても有効な制度といえるでしょう。
また、すでにiDeCoに加入している経営者も、今までiDeCoで貯めてきた資金を、そのまま企業型確定拠出年金に移換することもできます。
いかがでしょうか。ここまでの内容をお伝えし終えると、経営者の方々からこんな反応が多数寄せられます。「自分自身が早くこの制度を使いたい!」「手続きはどうやってやるのか、早く教えて!」大学卒業後、証券会社、IFAなど一貫して資産運用のアドバイス業務に携わってきましたが、何かを提案したときに、ここまでの前のめりさを感じることはそう多くありません。
これからの時代、福利厚生の充実は、いい人材を維持・確保していくためには必須になってくるに違いありません。
高まるニーズに対応すべく企業型導入を決めたITベンチャー
業種:IT
従業員数:35名
B社は、2009年に設立され、今急速に成長しているITベンチャーです。人事総務の担当者は、採用面接の際や、従業員から確定拠出年金について聞かれることが多くなってきているのを実感していました。Bは革新的なサービスを扱っており、将来上場を視野に入れているような会社なので、大企業からの転職志望者も多いのです。
大企業においては、企業型確定拠出年金を導入済みの企業が多いので、すでに確定拠出年金として資産を保有している人が大半です。
面接時に、求職者からの質問で「御社は企業型確定拠出年金を導入していますか?」という質問をされたことがあります。導入していません、と答えると、「なぜですか?」と聞かれ答えに困ったそうです。
また、従業員からも、「iDeCoをやりたいんですが」という問い合わせも増えてきており、確定拠出年金への関心の高まりを感じていました。いろいろと調べていく中で、おそらく時代の流れ的に、今後ますます確定拠出年金について聞かれることも増えてくるのではないかと人事総務の担当者は感じていました。
そんな状態のときに、B社の顧問会計士より当社をご紹介いただきました。
