月収125万円の41歳男性、家族のために組んだ8,400万円の住宅ローン。3年後、“夫の通帳”を見た妻の激怒に逆ギレ、数日後に帰宅すると…「子どものおもちゃも、妻の荷物も消えていた」

月収125万円の41歳男性、家族のために組んだ8,400万円の住宅ローン。3年後、“夫の通帳”を見た妻の激怒に逆ギレ、数日後に帰宅すると…「子どものおもちゃも、妻の荷物も消えていた」

中小企業経営の資金繰りにおいて、絶対にやってはいけない「禁じ手」があります。一時的なもの、という軽い気持ちだったはずが、一度やってしてしまうと、そこは底なし沼……。本記事では、鈴木社長(仮名)の事例とともに、経営者が正しい判断だと信じて陥る「資金の公私混同」による崩壊のメカニズムについて、資産形成・経営アドバイザーの萩原峻大氏が解説します。※本記事で紹介する事例は、実際にあった出来事を基にしていますが、個別事案が特定されないようプライバシーに配慮し、登場人物や具体的な状況に一部変更を加えて再構成したものです。

家族と幸せに暮らすためのマイホーム

マイホームの引き渡しの日、鈴木社長(仮名/41歳)は、新築の玄関に一人で立っていました。スーツではなく、少しラフな私服。それでも背筋は、自然と伸びていました。

――ここまで来たな。

創業して約7年。売上は急成長ではないが、安定している。派手な成功者ではない。だが、失敗する経営者にも見えない。堅実な歩みです。

月収は約125万円、住宅ローンは8,400万円。決して軽くはない金額ですが、彼の中では、すでに勝算がありました。事業は順調、売上も堅調、そして家族が増える、だから、家を建てる。順番として、なにひとつ不自然ではない。「これでやっと、社長としても、父親としても、一段上に行ける」そう確信できた瞬間でした。

しかし、このときの「疑いようのない自信」が、のちに足かせとなるのです。

黒字なのに給料が払えない…「禁断の一手」へ

3年後、歯車がずれはじめます。第二子の誕生をきっかけに、妻は仕事を退職。世帯収入は減りましたが、それも想定内でした。

問題は、会社のほう。主要取引先の一社でトラブルが発生。倒産ではないものの、入金が止まってしまったのです。帳簿上は黒字。利益も出ており、将来の受注もあります。それでも、その月、社員の給料が払えませんでした。

「来月には戻る」「一時的な資金の歪みだ」だからこそ、鈴木社長は判断しました。「自分が一時的に立て替えればいい」と。

個人の貯蓄を会社に入れる。事業用口座と生活費の境界を、少しだけ曖昧にする。それは「苦渋の決断」であると同時に、自分を正当化できる判断でもありました。

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