◆「母と絶縁状態になった」驚きの理由
――男性に対する憎しみの根源には、どのようなものがあるとご自身では思いますか。役満ろ満:原体験としては、やはり2番目の父親に暴力で支配され、一方で性欲の対象としてもみられていたことがあるでしょうね。幼い頃から、「女性を下にみてくる男性には絶対に屈しない」と思って生きてきました。それは現在でも同様です。
――現在、お母様とはどのような関係性でしょうか。
役満ろ満:絶縁しました。3年ほど前、母が大病を患ったのをきかっけに、私のほうから同居を提案しました。そこからトントン拍子に話が進んでしまって、母、私、弟、それから母の3番目の夫で暮らすことになりました。4500万円ほどの自宅を購入することになり、契約者は3番目の夫ですが、実際には私がローンを返済する生活が続きました。しかしうまく行かず、3ヶ月くらいで私と弟は夜逃げ同然で家を出たんです。
◆「クソみてぇな人生」だけど…

役満ろ満:結局のところ、母は「ずっと女でいたい人」なんですよね。家事ができない母に代わって、私がすべて身の回りの世話をしてきましたが、働いて疲れて帰宅しても考慮してくれず、まるで小姑のような小言を言うんです。私が反論すると、3番目の夫に泣きつく、というのが常でした。母は私や弟のことをみておらず、ずっと自分が可愛い人なんです。
現在、母に対しては憎悪しかありません。母からつけてもらった名前は、思い出したくない記憶に結びついているため、家庭裁判所で改名をしました。もちろん、住民票には閲覧制限をかけ、転居先は伝えていません。
――紆余曲折のあった役満ろ満さんですが、将来はどのようになりたいですか。
役満ろ満:これまでの経験を生かして、ライターとして生きていけたらと思っています。まったく同じ経験をした人はいなくても、似たような生きづらさを抱えて育った人は多いと思います。私の人生は「クソみてぇな人生」ですが、それでもありがたいことに、noteを読んでファンでいてくれる人もいるんです。言葉にしづらい、あるいはするのも憚られるような経験をした人たちに、届くものを書けたらと思っています。
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役満さんの言葉でずっと耳に残るものがある。「死が怖くない」。それは勇敢さではなく、生い立ちの壮絶さに他ならない。彼女の半生はまさに捨て身。自分を大切に思えない時間が長く続いた。まさに「クソみてぇな人生」。だが生きてきた時間の苦さを活字にしたとき、それが見も知らぬ誰かの支えになっていることを知る。彼女はもう、身勝手な大人たちのおもちゃではない。歩んできた道のりによって他者を鼓舞できるまで、自らの時計を進めている。
<取材・文/黒島暁生>
【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki

