消化器内科医は誰も選ばない「バリウム検査」。それでも人間ドックから“消えない”理由

消化器内科医は誰も選ばない「バリウム検査」。それでも人間ドックから“消えない”理由

◆バリウム検査が他検査に悪影響を与えることも

加えて、検査後の体内残留バリウムは、レントゲンなどで骨のように白くクッキリ写り込む。このため、バリウム検査の直後や同日に腹部CTを行うと、正確な診断ができなくなってしまうのだ。

「しかも大腸カメラの直前だと、腸内に残った白いバリウムが視界を遮り、検査自体が不可能になってしまうことも。仮にこれらの検査を組み合わせる必要がある場合は、バリウムから1週間程度空けて、便と共に完全排泄されてから別日に受けるよう、スケジュール作りにご注意ください」

上記のような欠点の多いバリウム検査は、なぜなくならないのか。石岡院長は医学的メリットより、「安さ」や「簡便性」という行政・企業側のメリットが大きいと語る。バリウム検査はバスに機材を積んで会社や公民館へ出向き、短時間で安価に大量の人を検査できる。いわば「集団検診のためのシステム」として優れているのだ。

「現在のような高精度の胃カメラが普及する以前から続く『風習』として残っている側面もありますね。仮に会社側が用意した無料コースがバリウムしかないのであれば、受けないよりはマシです。しかし、もし数千円の追加料金で胃カメラに変更できるなら、迷わず変更してください」

ちなみに、バリウム検査そのものの身体的負担を何とか減らすコツは無いのだろうか。

「指示に全力で従うことが一番です。体に力が入ると胃が収縮してしまい、余計に時間がかかったり、再撮影になったりします。割り切って、技師の指示通りにスピーディーに動くのが、結果的には最良ですね。どうしても辛い方は、鎮静剤を使用した内視鏡検査(胃カメラ)なら嘔吐反射(オエッとなる感覚)が劇的に少ないので、その実施施設を選んでください」

◆人間ドックを安く受診したい時は「必要なものだけ」がベスト

ここまでは人間ドックのオプションをある程度自由に選べる場合のコツを石岡院長に質問してきた。だが、オプション選びに先立つものは受診コスト=お金である。勤務先の企業や団体で受診補助制度があれば良いが、そうした制度のない企業や個人事業主について、費用負担を下げるコツはあるのか。

「会社の補助がない場合、賢くコストを下げるには、以下の4ステップを確認してください!」

(1)国民健康保険の「補助金」を申請する(個人事業主向け)
個人事業主などで国民健康保険(国保)に加入している場合、一部自治体は人間ドックの補助金や助成金を用意している。対象年齢(例:40歳以上など)や金額は自治体によって異なるので、在住地域の自治体に確認しよう。

(2)協会けんぽ等の補助を確認する(中小企業の従業員向け)
会社が加入している公的健康保険(協会けんぽ等)から補助されるケースがある。ホームページ等で確認するか、勤務先の担当者に「保険組合からの補助はないか」などと聞いてみるとよい。

(3)施設の「割引制度」や「時期」を狙う
一部の施設では、混み合う土日よりも平日を安く設定しているほか、受診者が減る閑散期に割引キャンペーンをしている場合もある。親子や夫婦、パートナーと2人で申し込むと「ペア割引」が適用される施設も多い。

(4)「アラカルト(お好み)」で賢く受ける
必要(不必要)な検査方法を賢く自己判断して、必要最低限のコストに抑える方法。工夫すれば最もコスパが良くなる。

なかでも石岡院長は(4)を強く推奨しており、院長自身も毎年フルコースを受けるのではなく、このスタイルで健康管理をしているという。会社員であれば年一回の法定健診で血液検査や胸部レントゲン、場合によっては腹部エコーやバリウムまで無料というケースは少なくない。この診断結果をベースに、法定検診と重複しない検査だけ単独(アラカルト)で受けるのだ。

「私の場合は、毎年必ずチェックする項目と、『大腸カメラは3年ごと』『脳ドックは5年ごと』というように間隔を空けるものを明確に分けています。『親族に脳卒中が多いから脳ドックは頻繁に』『膵臓癌は早期発見が難しいから小まめに検査』など、リスクが高い分野は頻度を上げ、低いものは間隔を空けましょう」

しっかりと知識をつけて「自分に必要な検査だけを選び取る」こと。このメリハリが費用を最小限に抑えつつ、最も効率よく自分の健康を守るコツだ。


配信元: 日刊SPA!

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