「築40年の家に、あと20年、30年暮らせるのだろうか…」
安全性や快適性の悩みはリフォームで改善できることもありますが、「築40年の家にそこまでお金をかける必要があるのだろうか」「結局、建て替えと変わらない費用になるのでは?」と迷ってしまう方も少なくありません。
そこで本記事では、築40年の家をリフォームするか建て替えるかで悩んだときの判断ポイントを、フローチャート形式でわかりやすく解説します。
費用面や建物の寿命の違いなども整理しながら、後悔しない選択をするヒントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
1.【自己診断】リフォーム・建て替え・住み替え判断チャートと相談先
リフォームと建て替えで悩んだとき、「築年数」は判断材料のひとつになりますが、それだけでは最適な方法は判断できません。
築40年の家は基礎や構造、配管の状態、敷地条件などによって、リフォームの適性や建て替えの可否、必要な費用が大きく変わります。
そのため後悔のない選択をするためには、建物の状態や理想の暮らし方、予算などをもとに、自分たちの状況に合う方法を総合的に選択をすることが大切です。
場合によっては、今の家を売って新居へと「住み替える」という選択肢も出てくるかもしれません。
まずはご自身のライフプランを整理しながら、どの選択肢が合っているのかを、以下のチャートで確認してみましょう。

| 診断結果 | 現在の状況 | ポイント | 適した相談先 |
|---|---|---|---|
| 住み替えを検討 |
立地や周辺環境に不満がある 将来的な管理負担を減らしたい |
売却価格によっては、 負担を抑えながらも新居を購入できる |
売却+購入に対応できる 不動産会社 |
| 小規模リフォームを検討 (建て替え制限あり) |
再建築不可などで建て替えできない |
建築確認が不要な範囲での工事に限られる ※不適合の部分を解消すれば、建て替えや 大規模リフォームができる可能性あり 細かなリフォームで快適性を確保できない 場合は住み替えも検討する |
築古物件の対応実績が豊富な 工務店またはリフォーム会社 |
| リフォーム優先で検討 |
基礎や構造に大きな問題がない |
建て替えより費用を抑えつつ、 今ある悩みや不安を解消できる |
提案力を強みとする工務店 またはリフォーム会社 |
| 建て替えを検討 |
雨漏り、傾き、シロアリ被害などがある 基礎や構造にダメージがある |
修繕するより、建て替えや住み替えの方が 合理的な可能性がある |
住宅性能に強い工務店、または 住宅診断を行えるリフォーム会社 |
| 建て替え優先で検討 |
重視し、資産価値を高めたい |
将来的な修繕をまとめて解消できる 子(孫)世帯への相続も可能 |
リフォームと新築の両方に 対応できる工務店 |
【注意点】築40年の家は見た目だけでは判断できない!
築40年の家はたとえ外観や内装がきれいでも、基礎や構造、配管などの見えない部分の劣化が進んでいるケースが少なくありません。
これまでに1度も床下や壁内を解体・修繕していないなら尚更です。
そうした住宅では実際に現地調査を行うと下記のような問題が判明し、当初は「リフォーム向き」と思っていた家が、「建て替えや住み替えを検討すべき状態」だと判明するケースもあります。
築40年の住宅の現地調査で初めて発覚する問題の例
基礎部分の腐食
雨漏りやシロアリ被害
配管の腐食、漏水
上記のチャートはあくまで判断材料のひとつとして活用し、最終的な結論は、専門家による現地調査や診断を受けたうえで出しましょう。
チャートを進めていくと、今抱えている課題や解決策が少しずつ見えてきます。
より詳しく状況を整理するために、判断のポイントを1つずつ確認していきましょう。
1-1.[判断1]立地・環境:老後もこの場所で不便なく暮らせるか
建物そのものの問題は、リフォームや建て替えで改善できます。
しかし「土地」や「周辺環境」の問題は、どれだけ家をきれいにしても解消できません。
たとえ住み慣れた場所であっても、老後の暮らしに合っていなければリフォーム後も不満は残るでしょう。
そのため、築40年の家をどうするか考えるときには「この場所でこれからも無理なく暮らせるか」という部分も、一度立ち止まって考えることが大切です。
その際にチェックしておきたいのが、次の3つのポイントです。
徒歩圏内にスーパー、ドラッグストア、病院があるか
車がなくても生活が成立するか(駅やバス停が近いか)
大雨や地震などの災害時に孤立しにくい環境か
これらに不安がある場合は、リフォームや建て替えよりも「住み替え」のほうが、将来的な負担が少なくなる可能性があります。
まずは仲介売却や買取などに対応している不動産会社に査定を依頼して、現在の住まいがいくらで売れるのかを把握してみましょう。
売却金で新居を購入できれば、自己資金の負担を抑えながら、より暮らしやすい環境へ移ることも可能です。
1-2.[判断2]土地の法規:建て替えできる物件かどうか
築40年の家を建て替えたいと考えたとき、必ず確認しておきたいのが「土地の法規条件」です。
住んでいる家が「再建築不可物件」にあたる場合は、建て替えや建築確認申請が必要になるような大規模なリフォームを行うことができません。
再建築不可物件でもっとも多いのが、「幅4m以上の道路に2m以上接していない(接道義務を満たしていない)土地」です。
前面道路が明らかに狭い場合には、再建築不可物件の可能性があります。
このような土地でも道路の中心から2mまで敷地を後退させる「セットバック」を行えば、再建築ができるようになる可能性があります。
ただし、敷地がコンパクトになってしまう分、建て替える際に今の家の面積が小さくなる可能性があることには注意しなくてはなりません。

出典:再建築不可物件はもうリフォームできない?2025年建築基準法改正後もできるリフォームと解決策
自宅が再建築不可物件にあたるか知りたいときには、役所の建築指導課、または住宅会社や不動産会社に相談してみましょう。
その際には、登記事項証明書や公図があるとスムーズです。
再建築不可物件はもうリフォームできない?2025年建築基準法改正後もできるリフォームと解決策
1-3.[判断3]建物の状態:大規模な修繕なしで、あと20年住めそうか
リフォームか建て替えかを判断するうえで、もっとも重要なポイントが「建物の状態」です。
築40年を超えると見た目の劣化だけではなく、構造や基礎、配管などの内部の劣化も進んでいる可能性が高くなります。
軽度な劣化や損傷ならリフォームでも十分対応できますが、傷みが激しかったり、広範囲に及んでいたりする場合は、無理に直すよりも建て替えを選んだほうがよいことも。
そのため「大規模修繕なしで、あと20年住めるか」が、判断ポイントになってきます。
まずは、家の状態をチェックしてみてください。
| 過去に雨漏りをしたことがある | |
| 床が傾いている、窓やドアの建付けが悪い | |
| 床がふかふかする、歩いたときに沈む感覚がある | |
| シロアリ対策を1度もしたことがない | |
| カビ臭い部屋がある | |
| 外壁に大きなひび割れ(クラック)がある |
これらに当てはまる項目が多いほど、構造部分まで傷んでいる可能性が高くなります。
この段階で不安を感じているなら、リフォームだけではなく、建て替えも視野に入れたほうがよいでしょう。
また、家の状態をより詳しく知りたいときには、ホームインスペクション(住宅診断)を受けるのも一案です。目視調査なら5万円〜7万円、詳細な調査を行っても6万円〜12万円が費用目安で、調査報告書まで作成してもらえます。
耐震診断の費用相場を建物別に解説!作業の流れや依頼のポイントも
1-4.[判断4]ライフプラン・相続:長く家を使い続ける予定かどうか
家の状態や予算だけでは決めきれないときには、ライフプランも考えてみましょう。
リフォームと建て替えでは建物の寿命が変わってくるので、「あと何年住みたいか」「その後、家をどうしたいか」なども判断ポイントになってきます。
ライフプランの判断基準
あと20年〜30年程度住めればいい:リフォーム向き
家を子や孫に相続したい、維持管理の負担を軽減したい:建て替え向き
築40年の家でも適切な箇所を修繕すれば、住宅寿命を30年〜40年ほどは延ばせます。
「自分たちの老後まで快適に暮らせればいい」と考えるなら、リフォームで十分対応できるでしょう。
一方、建て替えれば住宅寿命は60年~70年までぐっと延び、長期優良住宅なら100年にわたって維持することも可能。自分たちの老後はもちろん、適切なメンテナンスを行えば、子や孫へと住み継ぐこともできます。
老後の住まいは自分たちだけではなく、家族の将来も見据えて考えることが大切です。
ライフプランや子・孫世帯の状況なども踏まえて、検討してみてください。
1-5.[判断5]建物の健全性:耐震基準や基礎の状態に問題がないか
リフォームか建て替えかを判断する際には、「あと20〜30年住めるか」だけではなく、「安全に暮らせるか」という部分の確認も欠かせません。
とくに築40年前後の住宅は、「旧耐震基準」か「新耐震基準」かという部分も大きな判断ポイントになります。
旧耐震基準にあたる場合は必ず耐震診断を受け、適切な設計・耐震補強を行ってください。
新耐震基準の場合も劣化によって耐震性が低下している可能性があるため、耐震補強を行うことをおすすめします。
予算が許すなら、耐震診断を受けたほうが安心です。
また、築40年の住宅は耐震性だけではなく、断熱性も低下しているケースがほとんど。
住宅によっては断熱材自体が入っていない可能性があるので、家全体の性能も調査してもらったうえで、方向性を検討しましょう。
1-6.[判断6]優先順位:安全・快適・資産価値とコストどちらを優先するか
最後の判断ポイントは、「これからの暮らしで何を大切にしたいか」という部分です。
何を優先するかによってはチャートの結果と変わってくる可能性があるので、ここでもう1度希望を整理しておきましょう。
優先順位のチェックポイント
安全性と快適性を優先したい(耐震補強、断熱改修、バリアフリー化など)
資産価値を高めたい(売却や相続も視野に入れたい)
できるだけコストを抑えたい(最低限の修繕で住み続けたい)
たとえば、健康面(寒さ・ヒートショック)や地震への不安が強いなら、耐震性や断熱性を一新できる建て替えのほうが安心です。
将来的な売却や相続を見据えて資産価値を高めたいときにも、リフォームより建て替えが適しています。
一方で「自分たちの代まで持てばいい」「老後資金のために大きな出費は避けたい」と考えるなら、必要な工事のみを行うリフォームのほうが現実的です。
リフォームと建て替えで具体的にどのくらい費用と寿命が変わってくるのかは、次の章で詳しく比較します。
2.【リフォームvs建て替え】費用と寿命の比較
築40年の戸建住宅のリフォームと建て替えでは、それぞれ必要な費用や将来的な負担が大きく異なります。
ここではそれぞれの特徴を整理しながら、違いを比較してみましょう。
| リフォーム | 建て替え | ||
|---|---|---|---|
| 費用 | 工事費用 | 1,500万円~3,000万円 | 2,500万円~5,000万円 |
| ローン |
リフォームローン 一体型住宅ローン |
リフォームローン 建て替えローン ペアローン |
|
| 補助金・税制優遇 | 耐震・省エネ補助金など | 補助金+住宅ローン控除 | |
| メンテナンス費 | 10年〜15年後に部分補修が 必要になる可能性がある (既存躯体の状態次第で追加費用) |
20年〜30年は軽微な補修が中心 (保証や点検制度も利用しやすい) |
|
| 建物の寿命 | 工事後30年~40年 | 100年以上 (長期優良住宅) |
|
| 資産価値 | 評価は土地中心 (建物の価値はほぼゼロ) |
一定期間は建物価値が残る (売却しやすい) |
|
| 工事以外にかかる費用 |
仮住まい費用 |
仮住まい費用 解体費用 登記費用 地鎮祭など |
※30坪の場合。築40年を超えると内外装スケルトンが必要になるケースがほとんど
2-1.初期費用・メンテナンス費用
築40年の住宅は内外装ともに劣化が進んでいるケースが多いので、これまでに大規模な修繕を行っていないなら、「スケルトンリフォーム」を行うのが一般的です。
スケルトンリフォームでは内外装を撤去して骨組みの状態にまで解体するため、基礎・構造部分の補修はもちろん、断熱性や気密性などの性能面も高められます。
大規模な工事にはなりますが、費用目安は40坪で1,350万円~1,800万円と、建て替えよりも大きく抑えられます。
ただし、基礎の修繕や地盤改良が必要になると、想定以上に費用がかかることも。
その場合は、将来的な維持費までを含めると、建て替えと大差がなくなることもあるため、トータルコストで判断することが重要です。
2-2.建物の寿命と資産価値
リフォーム後の寿命は、適切なメンテナンスを行えば30年〜40年ほど延ばすことができます。自分たちの老後までなら、安心して暮らせるでしょう。
一方、建て替えでは基礎から新設するため、住宅寿命の目安は60年〜70年、長期優良住宅ならメンテナンスを行うことで100年近く維持できる可能性があります。
資産価値に関しても、リフォームだと建物の価値はほぼないものとして評価されますが、建て替えると一定期間(20年前後)は維持されます。
売却の可能性がある方は、この点も含めて検討したほうがよいでしょう。
2-3.利用できるローンの種類
リフォームと建て替えとでは、利用できるローンの種類も異なります。
リフォーム:リフォームローン、一体型住宅ローン
建て替え:住宅ローン、建て替えローン
リフォームローンや一体型ローンは住宅ローンよりも金利が高く、借り入れ期間も短くなることがほとんど。借入額が大きくなると、月々の返済負担が重くなる心配があります。
一方建て替えであれば低金利の住宅ローンが利用でき、団体信用生命保険(団信)にも加入できるため、万が一に備えることもできます。
工事費だけでなく、利息を含めた総支払額まで比較することが大切です。
【リフォーム・建て替えするなら補助金・税制優遇を活用しよう】家をリフォームまたは建て替える際に、補助金・減税制度を活用すれば実質的に費用負担を軽減できます。
代表的な制度を一覧で見てみましょう。
| 制度 | リフォーム | 建て替え |
|---|---|---|
| 省エネ補助金 (みらいエコ住宅2026事業) |
要件:開口部(窓)の断熱、省エネ設備の導入、子育て対応のための改修など 補助額:最大100万円/戸 |
要件:省エネ住宅の新築 (子育て世帯または若者世帯は最大125万円/戸) |
| 減税制度 |
リフォーム促進税制 |
住宅ローン控除(減税) |
補助金制度の中でもとくに補助額が大きいのが、住宅の省エネ性を高めるリフォームや新築住宅に対して補助金が支給される「省エネ補助金」です。
この制度を利用すれば、費用負担を大きく抑えられます。
ただし、要件が細かく指定されているので、リフォーム会社や住宅会社と相談のうえ、利用を検討しましょう。
また、工事費用の負担を軽減できるわけではありませんが、「減税」という形で実質的な費用負担を抑えることもできます。
とくに住宅ローン控除は、年末のローン残高の0.7%が13年にわたって控除されるため、総額でみると大きく負担を軽減できます。
こうした補助金・減税を反映した実質負担額からも、リフォームと建て替えのどちらが適しているのかを比較してみてください。
参考:国土交通省「1.みらいエコ住宅2026事業について」
参考:国土交通省「リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)の概要」
参考:国土交通省「住宅ローン減税」
【2026年最新版】リフォームの減税(控除)制度を分かりやすく解説!

