ガタガタの文字で綴られた「つらい、ここから出して」…迎えに行った娘、絶句。年金17万円・87歳母が〈レクリエーションが充実した老人ホーム〉で穏やかな余生を跡形もなく踏みにじられたワケ【FPが解説】

ガタガタの文字で綴られた「つらい、ここから出して」…迎えに行った娘、絶句。年金17万円・87歳母が〈レクリエーションが充実した老人ホーム〉で穏やかな余生を跡形もなく踏みにじられたワケ【FPが解説】

引きこもりの子供と、介護が必要な親。その「ダブルケア」の板挟みのなかで、なけなしの資金を投じた高齢親のための老人ホーム選びに失敗することは、家計にとって致命傷となりかねません。本記事では、社会保険労務士法人エニシアFP共同代表の三藤桂子氏がAさんの事例とともに、施設入居の現実と、契約前に必ず確認すべきことについて解説します。※事例は、プライバシーのため一部脚色して記事化したものです。

終わらない子育てと、迫りくる親の介護

60歳のAさんは、63歳の夫と35歳の息子との3人暮らしです。娘は大学卒業後、就職を機に独立し、5年前に結婚しました。一方、息子は大学卒業後、一度は就職したものの、職場の人間関係に悩み、精神的に立ち直れなくなり、退職。現在は、健康を取り戻せないまま再就職できず、家に引きこもっている状態です。「いつ立ち直れるかわからない我が子のためにも蓄えを残さねば……」そんな思いから、定年退職後も再雇用として、夫婦ともに働き続けています。

そんなAさんには、気がかりな存在がもう一人いました。実家で一人暮らしをしている87歳の実母です。Aさんが55歳のときに父が他界して以来、独居を続けてきた母。しかし、御年87歳となった母は、以前から本態性振戦の症状があり、箸やペンを持とうとすると指先が小刻みに震えてしまうことがありました。それでも日常生活に大きな支障はありませんでしたが、3年前に帯状疱疹で入院。さらに1年前には自宅で転倒し、足の指を骨折してしまいました。

身体の衰えに加え、防犯面の不安も出てきたこのごろ。最近では、「無料お試しハウスクリーニング」と称して玄関まわりの清掃をなかば押し売りのように行う業者が訪問。後日、たまたま下駄箱の上に置き忘れていた指輪と腕時計がなくなっていることに気づく、といった出来事がありました。「私の不注意だったから」 Aさんに心配をかけまいと振る舞う母でしたが、その落胆ぶりは明らかでした。

高齢者の一人暮らしは、健康面でも防犯面でもリスクが伴います。本来なら同居や近居を検討したいところですが、Aさんの家には引きこもりの息子がおり、自身もフルタイムで働いています。 現実的に同居は難しい――。悩んだ末、Aさんは母に老人ホームへの入居を勧めました。

母の収入は、父の遺族年金と自身の老齢年金を合わせて200万円(月額約17万円)です。決して少なくない金額ですが、有料老人ホームは施設の種類によって入居金や月額費用が異なり、持ち出しが必要となります。それでもAさんは、「施設費用が高くても援助を惜しまず、母が安心、快適に過ごしてもらいたい」と施設選びをしました。

「有料老人ホーム」とは?

有料老人ホームは、老人福祉法に基づき、老人の福祉を図るため、高齢者の心身の健康保持および生活の安定のために必要な措置として設けられている住居です。食事の提供、介護(入浴・排泄・食事)の提供、家事(洗濯・掃除等)の供与、健康管理のいずれかのサービスを提供している施設を指します。

有料老人ホームには、大きくわけて3つのタイプがあります。「介護付有料老人ホーム」は24時間の介護サービスが含まれるもの。「住宅型有料老人ホーム」は、生活支援やレクリエーションが中心で、介護が必要な場合は外部サービスを利用します。「健康型有料老人ホーム」は自立した高齢者向けで、介護が必要になると退去等の条件があることに注意が必要です。

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