誰も「成績が上がる方法」を実践しない
全社会議の後、わたしが話したやり方を実践している人が一人もいなかったのです。わたしが烏龍茶販売で1位になれた方法は
・ファン作り …… 日々の掃除、お客さんの名前を覚える
・お試し体験 …… 購入前の試飲
・セット割引 …… 単品ではなく12ヵ月セットで値引き
・関係構築 …… 配送などのアフターサービス
・ファン活用 …… ファンの方に協力をしてもらう、感想を貰う
という方法で、専門的な知識や技術は必要ないものでした。しかし、それを誰も実践していなかったのです。当時のサンケンのやり方は「インストラクターが前で商品説明をして、ワキが注文を取りに行く」という方法でした。一方、わたしのやり方は「地道な活動でファンを作り、商品を体験してもらって、相手から買ってもらう」という方法です。
「1位を取ったから生意気だ」、「⻆谷のやり方なんてマネしない」というようなことはなく、人間関係も普通であり、むしろ高い給料を貰ったので羨ましがられていたような環境であったのに、誰も「成績が上がる方法」を実践していなかったのです。当時のわたしは新人のプレイヤーであり部下もおらず責任者でもなかったため、周りに対して「なんでやらないんだろう」、「やったらいいのに」と思っているだけでした。
波はありましたが、ほぼ毎月上位の成績であり給料は55万円、94万円、130万円といった月もあり、もっとも多かった月は賞与400万円というものでした。そして、うまく行くたびに全社会議で発表をしていました。
自慢がしたいわけではなく「このような結果が出ていたのにほとんどの人がわたしのやり方のマネをしなかった」ことに驚いていました。表面上だけマネをする人はいたのですが、それで毎回結果が出ていたわけではありません。それは「形だけマネ」をしており、目の前のお客さんに合わせて考えていなかったからだと思っています。
いくら結果を出しても、周りの人のほとんどは当時のやり方、すなわち前例である「インストラクターが前で商品説明をして、ワキが注文を取りに行く」という方法から変わることがありませんでした。「注文を取りに行く」というより「押し売りに行く」ようにお客さんに話しかける人がほとんどで、しかも決まって「自分と距離の近いお客さんに、端から順番に声を掛けていく」というやり方でした。
稼げない人たちが陥る「前例主義」
わたしは「押し売り」はしません。しません、というかできない性格です。なので「明らかに欲しそうな人」だけに目を付けてその人のもとに向かい、「佐藤さん、いりますよね? 何個にしますか?」と声を掛けていました。お客さんも買う気の人ですから「あっ、ありがとう、3個欲しいわ」とスムーズに心地よく注文をくれます。お客さんと関係性ができたあとは「鈴木さん、名前書いといたよ。個数だけ書いといてね」と、明らかに欲しい人には先回りして名前を書いた注文用紙を配って最後に回収する、ということもしていました。
そのようなことを隠さずに伝えていました。それでも、ほとんどの人が「前例と同じやり方」から変わらなかったのです。わたしは「他人と違うことをして目立ちたい」、「型破りなことをしたい」という考えは持っていません。成功している前例ならそれを続ければいいと思っています。しかし、成長したい、売上を上げたいなど「これまで行ったことがない領域に行きたい」ときや、お客さんを見て「こうした方が喜ぶよね」ということがあったときは前例の有無は関係なく「お客さん起点の仕組み」を考えた方が確実に良い結果に繋がります。
国家公務員や水道、ガス、電気、公共機関などの生きるために必要なインフラを守るような仕事であれば「決められたことをミスなくやっていく」という仕事のスタンスで構いません。むしろ、それが大切です。ですが、普通の会社に勤めている、要は「お客さんに良い商品、良い体験を届けて、お礼にお金をもらう」という仕事であれば、常に「お客さん起点の仕組み」のことを意識しておきましょう。
もし「わたしは社内業務が仕事だから、お客さんとは話しません」という人がいたら「あなたに仕事を依頼する人、関係する人がお客さん」と考えてみてください。上司、会社の言うことを聞け、という事ではありません。ムリに業務を引き受ける、残業をする、といった「対処的でその場限りな、継続性のない方法」ではなく、相手が喜ぶ状況が作れれば、あなたの評価も上がっていくでしょう。
⻆谷 建耀知
株式会社わかさ生活
代表取締役社長
