◆■日本への影響は「情報格差の定着」と「ググる」の消滅
この波が日本に上陸した際、懸念されるのは「情報の格差」の定着です。今後は、「お金を払って『中立な知能』を買う人(月額20ドル以上の課金勢)」と、「無料で使える代わりに、AIに企業の意向を刷り込まれる人」の二極化が進むでしょう。無料版ユーザーは、自分がAIを使いこなしているつもりでも、実はAI(と広告主)によって「特定の消費行動」へスマートに誘導されている……なんていう、ちょっとしたディストピアが現実味を帯びてきます。
また、日本特有の「ググる(検索して比較する)」文化も、さらに衰退するでしょう。AIが提示した「広告付きの回答」だけで満足して完結する人が増えれば、私たちがこれまで情報源にしてきた個人のブログやニッチな比較サイトは、誰にも見られぬままネットの海に沈んでいくかもしれません。
◆■AIは「営業してくる一人のビジネスマン」と思うべき
広告が入ったからといって、ChatGPTが「使えないツール」になるわけではありません。大切なのは、「AIも、裏では商売をしている一人のビジネスマンである」という視点を持つことです。テレビにCMがあり、雑誌にタイアップ記事があるように、AIの回答にも「大人の事情」が含まれる時代がやってきました。AIが熱心に何かを勧めてきたとき、「これは本当に俺のためか? それともスポンサーのためか?」と、一歩引いてニヤリと笑える余裕が欲しいところです。
「AIが言っているから」と盲信するのではなく、最後は自分の鼻を信じる。デジタルが進めば進むほど、そんなアナログな「疑う力」こそが、損をしないための最大の武器になるはずです。
【福原たまねぎ】
シアトル在住。外資系IT米国本社のシニアPM。ワシントン大学MBAメンター(キャリア・アドバイザー)。大学卒業後にベンチャー企業を経て2016年に外資系IT企業の日本支社に入社。2022年にアメリカ本社に転籍し現職。noteでは仕事術やキャリア論など記事を多数発表。X:@fukutamanegi

