
富裕層と聞くと、さぞ贅沢な暮らしをしているのだろうと思う人もいるかもしれません。ですが、多くの富裕層は意外なほど質素で、収支管理に厳しい人が多いといいます。本記事では、濵島成士郎氏の著書『現役プライベートバンカーがこっそり教える億万長者の資産運用』(すばる舎)から一部を抜粋・編集。富裕層の暮らしぶりと「お金を生む仕組み」を見ていきましょう。
富裕層の節約志向がお金を生む
富裕層の暮らしぶりと言うと、「高級車に豪華な別荘、クルーザーでバカンス」など、派手なお金の使い方を想像するかもしれません。しかし実際には、意外なほど質素で無駄遣いをしない人が多く、むしろお金の使い方にシビアな富裕層が多い印象があります。
たとえば、投資の神様、ウォーレン・バフェット氏の私生活は驚くほど質素です。世界有数の大富豪でありながら、いまだに1958年に3万1000ドル(当時のレートで約360万円)で購入した家に住み続けていますし、毎朝の朝食はマクドナルドだそうです。
彼は、市場の状況によっては朝食代を数十セント節約することさえあるそうで、「今日は景気がいいから3.17ドルのベーコンエッグ、株価が下がっている日は2.61ドルのソーセージパティ」と冗談めかして語っています。
また、京セラや第二電電(現KDDI)の創業者である故・稲盛和夫氏は、大衆的なお店である吉野家の牛丼や眠眠の餃子を好んで食べていました。京都の経済界のトップが集まった会合では、王将の餃子がテーブルに並んでいることもあったそうです。
もちろん、富裕層すべてが質素で倹約家だとは言いません。なかには派手にお金を使うことを好む人もいます。しかし、そうした人たちでさえ「収入と支出のバランスをコントロールする」こと、つまり「無駄遣いをしないでお金を手元に残す」ことを誰もが心がけています。一時的に派手な消費をすることがあっても、考えなしにそれをずっと続けることは、まずありません。
そもそも、お金を手元に残すことができなければ、投資に回す原資も生まれません。富裕層の多くは若い頃から収支管理を徹底することを教育され、収入の2~3割を先に貯蓄や投資に回す習慣を持っていることもよくあります。
さらに、支出の一つひとつをきちんと記録・把握している人も多い印象があります。ちまちまと紙の家計簿をつけることはまずありませんが、家計管理アプリで大まかに支出の把握をしている人の割合はかなり多いでしょう。
「この支出はいらなかったのでは?」「もっと節約できないか?」と定期的に見直すことで、生まれた余剰資金を貯蓄や投資に回し、お金を生むお金(タネ銭)に変えていくのです。もちろん、お金を残すだけでなく収入を増やすことにも熱心で、本業以外にも複数の事業を手がけ、投資収益を含めて複数の収入源を持つようにしています。
富裕層の“質素な暮らし”の実態
もう30年近くも前の本ですが、『となりの億万長者』(原題:The Millionaire NextDoor /トマス・J・スタンリー、ウィリアム・D・ダンコ 著)というベストセラーがありました(早川書房から新版あり)。この本ではアメリカの億万長者たちの意外なまでに質素な生活ぶりが明らかにされていますので、その特徴をいくつかかいつまんで紹介しておきましょう。
高級車に大金を費やさない
高級外車ではなく、フォードやシボレーといった手頃な価格のアメ車を好む人が多く、新車ではなく中古車を選ぶ割合も高い。調査対象の36.6%が中古車派、新車購入派でも頻繁に買い替えることはせず、4年以上車を買い替えていない人が25.2%に上る。
また直近で購入した自動車への平均支出は2万4800ドル程度(当時のレートでおよそ210万円)とされ、高級車に大金を費やすケースは稀。
身なりは質素、買い物は量販店で
ブランド志向は低く、スーツや腕時計など身につけるものにも驚くほど倹約的。典型的な億万長者はスーツに400ドル以上支払ったことがなく、腕時計も235ドル以上のものは持っていないというデータがある。
実際、多くの億万長者は高級百貨店ではなく一般的な量販店で買い物をする傾向があり、高級ブランド専門店で浪費をすることは少ない。
高級住宅街の豪邸には住まない
住まいも身の丈に合ったものにとどめているケースが多い。億万長者と聞いて想像するような豪邸ではなく、中流家庭向けの平均的な家に長年住み続けている人が少なくない。調査によれば、平均的な億万長者の自宅の評価額は32万ドル程度(当時のレートでおよそ2700万円)と、資産のわりに控えめ。
著者らは「高級住宅街に住む人々の多くは、実は純資産がそれほど多くなく、逆に本当の富裕層は高級住宅街に住んでいない場合も多い」という発見に至ったと述べている。要するに、億万長者たちは収入や資産に見合わない過剰な住宅ローンを抱えることなく、「身の丈に合った地域と家」を選ぶことで生活コストを抑えている。
億万長者は「子どもの教育」にはお金を惜しまない
億万長者たちは教育を非常に重視する点が特徴的。調査対象の富裕層は、概して「自分たちや子供・孫の教育は極めて重要だ」と考えており、高等教育への投資を惜しまない傾向がある。
実際、億万長者の家庭は子供を医学部や大学院にまで進学させる割合が平均の5倍以上とはるかに高い。彼らは「教育費は、子供に魚の釣り方を教えるようなもの」と考えており、学費を援助することもある。
濵島成士郎
シニア・プライベートバンカー
株式会社WealthLead 代表取締役
