高市圧勝後の日中関係はどうなるのか 習近平指導部が直面するジレンマ

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出典:首相官邸ホームページ

 衆院選で与党が大勝し、高市早苗首相が強い政治基盤を得たことで、日中関係は新たな局面に入った。選挙結果は国内政治の問題である一方、中国にとっては、日本の対中姿勢が今後も硬化する可能性を突きつけるものとなった。今後、日中関係はどこへ向かうのか。

◆中国が警戒する「民意を得た対中強硬路線」
 今回の衆院選で、自民党は衆院の3分の2を超える議席を確保した。高市首相は選挙戦を通じ、防衛力強化や憲法改正への意欲をにじませてきた。とりわけ、台湾有事を巡る発言は、中国側の強い反発を招いている。

 中国はこれまでに日本への渡航自粛要請や、軍事転用可能な物資の輸出管理強化など、事実上の対抗措置に踏み切ってきた。衆院選の結果は、こうした圧力にもかかわらず、日本の有権者が高市政権を支持した形となり、中国側には「対日強硬姿勢が日本の世論を変えなかった」との認識を残した。

◆中国公式見解は「政策は変わらない」
 中国外務省は、選挙結果について「日本の内政問題」と距離を置きつつも、「平和的発展の道を歩むべきだ」と日本をけん制している。中国共産党系メディアのグローバル・タイムズは、高市政権を「軍国主義復活のリスク」と結びつける論調を展開し、台湾問題での発言撤回を改めて求めた。

 こうした姿勢からは、中国側が表向きは強硬姿勢を崩さず、国内世論やナショナリズムを意識している様子がうかがえる。一方で、中国外務省は「対日政策は選挙一つで変わらない」とも述べており、全面的な関係断絶を望んでいないことも示唆している。

◆「緊張は続くが、出口も探る」第三国メディアの見方
 シンガポールの英字紙ストレーツ・タイムズは分析記事で、日中関係は当面、緊張状態が続くとの見方を示した。その一方で、中国が高市政権との「平和的共存の道」を模索する可能性にも言及している。

 記事では、中国側が高市首相の強い国内基盤を踏まえ、「圧力だけでは日本の姿勢を変えられない」と計算する可能性があると指摘する。過去にも、日本で強い政権が誕生した後、一定の時間を経て関係が安定化した例があるという見立てだ。

◆習近平指導部のジレンマ
 ブルームバーグは、習近平指導部が「圧力継続」と「関係修復」の間で難しい判断を迫られていると報じた。日本との関係を冷却させたままにすれば、アメリカとの同盟をより強固にする結果を招きかねない。一方で、日本の対中強硬姿勢を黙認すれば、台湾問題を巡る中国の主張が弱まるとの懸念もある。

 中国にとって日本は、政治的には対立しつつも、経済的には切り離しにくい存在だ。貿易や人的往来の規模を考えれば、対立の「管理」が現実的な選択肢となる。

◆管理された対立が続く可能性
 これらの見方を総合すると、衆院選後の日中関係は、急激に改善する可能性は低い。一方で、軍事的・経済的な衝突を避けるため、対話の窓口は維持され、「管理された緊張状態」が続く公算が大きい。

 日本側が防衛力強化を進める一方、中国側も対抗措置をカードとして温存する。両国は互いに強硬姿勢を示しつつ、関係が制御不能に陥ることだけは避けようとする。衆院選の結果は、日中関係を安定させたわけではないが、少なくとも「強い政権同士が向き合う」新たな段階に入ったことを示している。

配信元: NewSphere

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